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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 闇夜の惨劇 ( No.61 )
- 日時: 2011/07/13 22:46
- 名前: 凛 ◆KM/REaTgCs (ID: VYCQ1KaR)
5*夕暮れの刻 ビー玉遊び
薄暗い部屋の中で、茜凪は文机に腰を下ろした
そしてそのままコンピュータのような物で魔界の情報を調べる
機械類を覚えるのは苦手だが、使えぬと困る為に必死で覚えたのだ
「……今月は今の所100人か。思っていたより多いのだな」
画面に表示されているのは、今月魔界の者の手によって死んだ人間の名前・年齢・所在地だ
先月のページを開くと、見覚えの在る名前があった
“真城 悠莉 (16) ●●県恋黒市 執行人:死神茜凪、吸血鬼セルシェーン・オーデル
依頼人:風見梨子 (16)”
真城 悠莉と風見 梨子……———私の元に依頼し、悠莉さんはセルシェの手により死に、梨子さんは私が手を下した
二人の魂は一度魔界に送られ、そして三途の川へ放り出され、地獄へ堕ちるだろう
いや、2人の場合は先に賽の河原に連れて行かれるか……
どちらにせよ、救われるのは気が遠くなるほど先の事だ
「……哀れだったな」
どちらも幸せにはなれなかったのだから
哀れとしかいいようがないだろう
「これくらいでよいか……」
電源を落とすと、縁側に寝転ぶ
夕暮れの淡い橙色が庭の花々を染めゆく
近くに落ちていたビー玉を拾い、転がした
「———……」
何を言おうとしたかは分からない
茜凪は近くのビー玉に向かって、持っていたビー玉を弾いた
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