ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Mission〜ミッション〜(共同制作) ( No.95 )
- 日時: 2011/04/30 15:46
- 名前: きのこメイド (ID: C.IWX95H)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?id
第七話
彼らが転校してきてから1週間たった。
二人は行方不明の竹原珠洲香さんの話をしてから暗い顔ばかりするようになった。もちろん、私も。
そんな事を考えながら、2時間目の数学の問題を解く。軽い不安と混乱でほとんど頭に入らないけど。
そんなこんなで終了のチャイムが鳴る。
「あー今日もつかれたなぁ基貴。」
後ろから憲くんと基貴君の会話が聞こえる。
「まぁな…それにしても…」
基貴君が視線を落とすように低い声で。私は聞こえないフリをした。
「…やっぱり石夜と竹原は同一人物じゃないのか?」
小さい声で憲君が言った。私は少し動揺したけどそのまま聞こえないフリ。
「そんな事今言うなよ、聞こえたらどうするんだ。」
基貴君が早口にそういった。けれど憲くんは
「俺…前は巻き込みたくないっていったけどさ…やっぱり…」
「……覚悟、したのか?」
「………ああ。」
覚悟、巻き込みたくない、同一人物、竹原。
その単語がすごく耳に残る。私はそのときすごくいやな予感がした。
「あの…うわさ知ってるか憲?」
「…「無くした館」のことか?」
「ああ。俺はそれにかけようと思うんだ。」
「基貴………すこしあと残りは良くないけど…それしかないか…。」
「それじゃあ…放課後、計画実行。」
「…了解。」
なんのはなしだろう。
無くした館…?ふと思い返すとすごい悪寒が背中を走る。
風邪…まだ直ってなかったんだろうか…?
より頭が何も消化出来なくなり、気づけばもう放課後になっていた。
「ちょっといいか?石夜」
帰ろうとかばんを持って廊下を歩く私を憲君と基貴君が引き止める。
数学のときに話していた事だろうか…
その予感は的中し、基貴君が
「…巻き込んですまないが石夜…いや珠洲香。竹原を一緒に探してくれないか?」
「えっ…あぁ…」
話を聞いていたとはいえず、私は初めて聞いたように振舞った。
「悪いな。どうしても確かめたいんだ…竹原とお前が同一人物じゃないのか。」
「わ…私は石夜珠洲香だよ…」
「それはわかってる…けど……その…もし記憶の混乱があって俺たちのことを忘れてるとかがあったらさ…」
「…」
「頼む!!この通り!!」
憲君が地面に頭をつける。周りのみんながざわつき始めたから私は、
「わっわかったよ…いいよ。手伝う。それに…」
「それに?」
「あっ…」
ふといなくなったほうの憲と基貴を思い出してしまった。どうしよう…
「…ま、石夜にもなんかじじょうがあるということで…」
「ご…ごめん…」
おおらかな憲君は深い事は考えずにまとめてくれた。
「じゃあ…よろしく。石夜…じゃなくて珠洲香。」
「こちらこそ…」
3人で手を結ぶ。
記憶の混乱と互いを失った私たちの絆は、これからよからぬ方向へと導かれてゆくのだろうか…?
第七話END