ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

出会った日 (2) ( No.6 )
日時: 2010/04/25 13:54
名前: 空色 (ID: WPWjN3c4)

 少年は、ただ立っていた。周囲には木が乱立し、目の前にも後ろにも木の生えている、俗に森と呼ばれる場所に。
 ぎょろりとして異様な雰囲気を放つ闇色の瞳が、ざわざわと風で揺さぶられる木の枝を見据えている。
 容姿は人であるものの、少年の瞳は到底人間とは思えない——どちらかというと、“鳥”のようだった。
 さらに本来口がある部分には——黄色くてかる、三十センチはあるんじゃないかと思うぐらい長い、“嘴”。
 
 明らかに“鳥”を連想させる少年は、激しく吹き付ける肌寒い風を全く気にしていないようだった。
 眼球だけはぎょろりと動き続けるものの、体や顔の向きは微塵も動かない。
 まるで、鳥に重ねてロボットを連想させる。 
 瞳と口以外は人間だが、人間ではないことを他者に悟らせるには十分すぎた。

「————」

 風と木が揺れることにより生まれる音以外、無音だった。
 少年は、息さえしていないように思えた。ただ、無音。
 ぶわあ、と風が吹き付けるたびに少年の漆黒の短髪が宙を舞い、少年の顔に体に纏わり付く。
 けれども少年はその髪をはらうこともせず、ただ瞳だけがぎょろりと周囲を眺め続ける。


「みつけた」


 そんな世界に、新たな音。少女の声。どこか楽しそうで、どこか哀しそうな複雑な声。
 ぎぎっ、と壊れかけたロボットが首を動かすような効果音がつきそうな様子で、ぎこちなく少年は首を動かした。
 声のほう——つまり少年の真後ろ——へと首を向ける。体は動かさず、首だけを動かす。
 
 ふんわりとロリータ調のスカートを風に任せてはためかせ、白いカーディガンのようなものを羽織る少女が、そこにいた。
 少女なのだが、外見は明らかに幼稚園児だ。夜にほっつき歩いていると、警察に保護されかねない。
 少女の綺麗な銀髪は白色のゴムでツインテールに束ねられていて、ばたばたと風に煽られるが顔に纏わりつきはしない。
 冷めた蒼い瞳のまま、少女はふんわりと微笑んだ。

「初めまして、【闇色カラス】さん」

 優しげな少女の声に、【闇色カラス】の呼び名を持つ少年はぐるりと体の向きを変え、少女と向き合った。
 
「——【狂った瞳の断罪者】」

 【闇色カラス】は、目だけは笑っていない少女——【狂った瞳の断罪者】の名を、呟くような声で小さく呼んだ。


next.



〜〜〜
どうもこんにちは、空色です。第一話まだ終わりません。無駄に長いです。毎話。
皆さんの素晴らしい小説にコメいきたいと思いつつ、中々時間(気力ともいう)が無い私です。
気をぬくとすぐに流れていっちゃいますね。恐るべし小説カキコ。

今回、短くてすみません。次もそんなに長くないです、きっと((((
「next.」がついているときは、その話はまだ続くということでお願いします。
第二話が終わったあたりでキャラ募集してみようかなぁ、とか。
コメントとか、よろしくお願いしまs(黙