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Episode27  魔王 ( No.104 )
日時: 2010/05/31 17:10
名前: 禰音 鏡幻 ◆Kaim8JsO5s (ID: cYSZrqDn)

「で、何処行くんだ?」

「何処って…指輪治せる所かな?」

「指輪…?あぁ、魔力を抑えられなくなってるな、このままだとアリソンから大目玉だ」

アリソンとは、私の師匠の名前で、指輪は私の親譲りのとんでもない量の魔力を制御するためのリミッター。
つまり今、私は魔法を使えず、無理に使おうとすれば、
この星の生命全てを吹き飛ばしかねない膨大な力が押さえ込まれている。

「アリソン?そちらの船長ですね?今まで思っていたのですが、貴方は何故この船に…?」

「師匠が弟子につけた見張りってところだ」

「ええ、そんな所。目障りでしょうがないよ」

「お喋りはこの辺で止めておけ、何かに捕まってろ!飛ぶぞォッ!」

ダァァアアアン!

海面がまるで火山の噴火口のように船を打ち上げた。
空高く打ち上げられ、降下を始めた所で一気に帆が開き、空を滑るように滑空し、森に落ちた。

「あのさ、馬鹿猫ちゃん。船は空を飛ぶ乗り物でもなければ、陸地を走る乗り物でもないと思うんだけど…?気のせいかな?」

「誰だ?」

会話の合間、誰かに呼び止められたらしい。
木に引っかかった船から飛び降ると、
小屋があった。
たぶん、その小屋の住民だろう、
黒髪紅眼のイケメン君だ。

「サタンか、お久〜」

「ブラッディ、知り合い?」

「失礼、私は魔王のサタンだ」

どんだけこの猫には知人が居るのやら、
指輪を治しに来たらばったり魔王と遭遇って…。
普通なら洒落にならないよ?