ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Episode28 柳原 湖流 ( No.105 )
日時: 2010/06/01 14:23
名前: 禰音 鏡幻 ◆Kaim8JsO5s (ID: cYSZrqDn)

ゴンゴン!

小屋の入り口をノックすると、
なんと、付加緑色の長髪を束ねた女が出てきた。
流石これは驚くが、何事も無い素振りをする。

「あれ?ネコさんですか、君のグローブは壊れてないみたいだけど…?」

「今回は俺じゃなく、こいつ等だ。シャル、アリスの指輪を治せるか?」

その女はアリスの腕を信じられないくらい強く引っ張ると、
指輪をまじまじと、穴が開くほど凝視して、

「確かにまずいですね、この人が本気で魔法を使ったらこの大陸位なら吹き飛ばせそうね。直すのは湖流にしか無理よ」

縁起でもない結論を述べる。
確かに、指輪が壊れていては魔力のコントロールに支障をきたすが、
大陸が吹っ飛ぶとなると話が別だ。
早く直さねば…!
しかし、やっぱりだ!
師匠…、だましてやがったなァ!

「あの船長の悪い癖だ、大目に見てやってくれ」

その言葉と同時に、気配も無く、
シャルの後ろから結構な年の爺さんが出てきた。
まさか、この…

「そのまさか、このジジイが刀鍛冶だぜ?」

思考を読んだ上、
年寄りとは思えない軽快な動きでステップを踏み、
この状況を読めずに混乱しているクィークの鉤爪攻撃の嵐を掻い潜り、
クィークの頭を撫でながら言った。

「……スゴイね。人間って、年取ると衰えると思ってた」

「俺は永遠の20歳だぜ!? 」

「実際は90近いよな…?」

ブラッディの気持ちを考えぬ的確な質問の答えに戸惑っているらしい、
3秒ほどの沈黙過ぎた。

「脳内は永遠の20歳だ!肉体は朽ちても俺は20歳なのだッ!」

……このための沈黙か、
期待させるなよ、まったく。

「で、指輪を直しに来たらしいな。見せてくれるか?」

今度は真面目な口調だったので、指輪をはめた手を見せると、
驚いたように目を見開き、そのまま気絶してしまった。
……何で?