ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Episode33  硬い物ほど砕ける ( No.117 )
日時: 2010/06/05 16:18
名前: 禰音 鏡幻 ◆akHvV3kiSo (ID: cYSZrqDn)

「どうやって行くの?この森はアレーイン、つまりシェリア都市部の外れからだから…」

「大体30日、1ヶ月は下らないですね」

「なんだ、もう行くのか。気の早い奴だ、武器見ていってからでも良いだろうに」

困っている二人と永遠の20歳を誇示する老人をよそに、ブラッディは船を木から下ろし、
地面に置くとなにやら魔方陣らしき物を書き始めた。

「なあ、アイスバーグって、北のほうだよな?」

「ええ、北ですよ。龍の砦は此処から北へ985387km先にありますね」

「お前便利だな」

聞いた通りに魔方陣の方位をあわせ、5分後、見事に書き上げた魔方陣の中心に船を置くと、2人を船に放り込み、自分はマストを猫に戻り駆け上ると、船を2度叩いた。
すると驚く事に、船は自然と浮き上がると、
風に乗り、海へと進む。

「へー破壊魔法ばっかり覚えてるわけじゃないんだね〜」

「失礼な!俺がそんな暴君に見えるか!? 」

「ええ、十分見えます」

「テメーは黙っとけぇッ!」

港の上空に差し掛かると、差し掛かると…

ゴォオオォォォオォ…

風が耳元を通過する音が聞こえる。
…落ちてる?
恐2人はる恐る下を見ると、やっぱり落ちて行ってる!

「何してるんですか!船壊れますよ!」

「ダイジョブだァ!この船は強度に関してなら鋼より硬い!」

「硬い物ほどよく砕けるって言うけど!? 」

「…………」

「黙り込むな馬鹿猫ォ!」

そうこう話しているうちに、海面が一気に迫り来る!
……そして、

ダッバァアァァァン!

見事に船は海面に着地し、風に乗ってもの凄い勢いで進み始めた。

「この速さでもやはり1ヶ月は…」

「俺が居るだろ!? アリス!津波頼む。俺はコントロールできるけど津波は起せねぇ」

「ハイハイ、しょうがないな」

その会話の次の瞬間、船の後ろから大津波が迫り来る!

「よォし!飛ばすぞ!1日あれば着く!」

「相変わらずメチャクチャな船ですね」

「アハハ、日常がこうだから気にならなくなるよ」