ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Episode35 魔法とは ( No.121 )
- 日時: 2010/06/07 16:46
- 名前: 禰音 鏡幻 ◆akHvV3kiSo (ID: cYSZrqDn)
「コレより我等海族は、掟に則り政府の制圧を開始する事とする。誰か制圧案は無いか…?」
ひどくヨボヨボの年寄り海賊が広間に居る屈強な海賊達を仕切る。
大半が強面で、ムキムキマッチョ。
なので話しにくい。
「私から、良いかな?」
そんな中、師匠が発案をする。
その図太い神経はうらやましい、わたしもああだったらな…。
師匠は魔力による制圧を発案しているらしいが、
魔法を使えるのはこの100人ほどの内、わずか9人程しか居ないらしく、
爺さんは判断に困っているようだ。
しかし直ぐに、
「今ここで、魔力を用いた戦闘により制圧せんと提案した者が居る。ここに居る者で、魔法を使用できる者は居るか?」
私と師匠を含め、8人が手を上げる。
全員で10人、大体1/10だ、
数が少ない上、レベルもまちまち、
魔力を持っている者は80人以上居るだろうが、
今から教えるとなると、膨大な時間が必要になる。
「では、手を下げろ」
「あのさ、今私がここの人見て思ったんだけど、皆、魔力がある程度あれば魔法使えるんだよ?もったいないよね、皆魔力を持っているのに。そんな皆は、魔法という夢の力、使いたくない?」
その言葉だけで、一気に広間が沸く。
それを見て、師匠は言葉を続ける。
「魔法ってさ、結局なんだと思う?不思議な力だと思っている人が大半だよね?実はそうじゃないんだよ。君達のイメージが魔法として具現化するのは言わなくても分かると思う。そのイメージが強ければ強いほど魔法は強くなると思っている人が大半だよね?イメージ力はある程度あれば良いんだよ。後は魔力だけ。それを踏まえて、私の使いきれないほどの膨大な魔力の一部を君達に分け与えたら、私1人以上の戦力となるんだ。だから、私の考えに共感の持てる人たちは私の後に続きなさい」
「考えって何だ!」
1人が声を上げる。
それに釣られたように次々と……。
「考えは何かって?人間の一切の負の感情を消し去るのよ。悪意、殺意、敵意、その他もろもろ。どうする?」
「……悪いけど、弟子の私はパス。負の感情が人間から消えたら詰まんなくなっちゃうよ」
「アリスは残るとして、他は?」
全員一致、師匠はやはり凄い。
しかし、私はどうしても師匠の考えには共感がもてないんだよね。
「どうやって発動するんだ!? 」
魔力を手に入れたばかりの海賊が楽しそうに師匠に使い方を聞いている。
私からしたら、師匠が親で、海賊達が新しい玩具を手に入れた子どもにしか見えない。
「魔法は、思念から物を作り出すエネルギーなんだよ。ちなみに杖とかは要らない。杖は、その木のDNAに刻まれた様に魔力を別のエネルギーに変換して放出するしか使い道が無いから基本は使わないよ。まずは狙いをその空間に定める。相手でもいいけど、空間の方が楽よ。そして、効果が発動している様子をイメージするだけで発動してオシマイ。簡単でしょ?私はイメージじゃなくて感覚的に使うから目を閉じていても出来るけど、初心者は確実に的を見ていないと当てられないよ」
「……そんな事知ってるよ」
師匠の説明は、簡単すぎて逆に分かりにくいが、
頭の悪い海賊はアレでいいらしい。
私に出来る事はあの海賊達が私の敵に回らないよう祈る事くらいだろう。
祈るといっても、祈る対象の"カミサマ"は私には居ないのが残念だけど。