ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Episode37  不思議 ( No.129 )
日時: 2010/06/10 14:45
名前: 禰音 鏡幻 ◆akHvV3kiSo (ID: cYSZrqDn)

「これで…終わり?終わるわけ無いよ」

「……何で?私はもう止めを刺す段階だよ?」

その言葉を聞き、フレアは不敵にも笑みをこぼす。
それは、絶体絶命でどうしようもないと言っているモノではなく、
相手の行動が哀れに見えている者特有の笑だ。

「何か策でもあるの?私はもう、君を囲んでいるよ?」

「策?あえて言うならこうかな?"私はもう、君を囲んでいるよ?"かな?」

その言葉を聞いた直後、脳に凄まじい速さで電撃が走る。
……まさか!
その仮説を確信するため、私は少し横を見る。
戦闘に置いて、相手を視界から外すのは致命的だが、
この仮説が正しければ既に視界にはフレアは居ない!

「気が付いた?」

フレアの声が四方八方から木霊する。
そう、私がこの万華鏡の魔法を発動した直後、
タイミングをずらして私がまだ視認出きるうちにまったく同じ魔法に掛けていたんだ!

「……一杯喰ったよ」

「降参?降参だったら生かしておいてあげるけど…?もちろん、牢獄にぶち込むけどね」

「降参も、牢獄も勘弁願いたいな」

「そッ!」

フレアが四方八方から私に斬りかかる!
全てをいなすのは至難の業、
ここは直撃を避けねば!

「破業、森羅転生!」

ドズゥゥゥ……ゥ…ン…

魔法空間に凄まじい爆発音が響き渡る。
爆音と同時に、視界を爆炎がさえぎる。
その爆炎が消え、血まみれのフレアが腹を押さえて倒れている。

「う゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛あ゛!! いったい何をした!? 私の知らない魔術!? そんなはずは無い!契約によって得た魔術は全て私がコピーしたはず!」

「う〜…ん、何をしたって?私にもイマイチ状況がよく掴めないけど、新しく作った魔術をその場でとっさに発動させた…が、正しいと思う」

「ワオ!何したの?アリス」


別の敵!?
……違った、師匠か。
と言うかどうやってこの魔法空間入ってきたの?
凄いけど敵には回したくないな……。
この状況も正直に話さないと場合によっては私の創ったこの空間に閉じ込められかねないだろうし。

「魔術発動のアルゴリズムに則って新魔術を発動させたらこうなった」

「へ〜…私も知らない物ね。大半は理論だけで終わって発動しても弱かったりするけど…、上手くいったのね」