ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Episode42 死者の島 ( No.138 )
- 日時: 2010/06/12 16:02
- 名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)
『師匠?師匠とは何者ですか?』
「アンタに教える義理は無いな〜」
一気に冷えた頭は急速回転し、
奴を叩き壊す術を検索する。
何か…何か分かった。
その何かが分かれば…
『作戦を練っているのですか?ならばそれを妨害して、応戦部隊が来るまで考え付かないようにしましょう』
そう言うと、一直線に突っ込んでくる!
そのまま上へ飛び、天井を蹴り加速、
そして加速した状態からの踵落とし!
それを避け、そのまま考え続ける。
「そういえば前同じ技を使ってきたのが居たな。鍛冶屋の小屋に来たっけ」
その直後、何かが天井を突き破りこのフロアに落ちてきた。
猫…だな。
確か、ロシアンブルー種だからフィオだっけ?
その猫は瞬時に人の形と化し、
奴を殴り倒した。
「何を手こずってるの?コイツの弱点は無い。潰してしまうのが妥当。ほら、こんな風にさ」
指で空間を丸くなぞると、空間に丸い穴がぽっかり開き、
その穴は物と言う物を一気に吸い込みだした!?
まさか…
「それ、ブラックホール!? 」
「そうよ、ブラックホール」
「このままでは我々も吸い込まれますよ?」
『効きませんよ。私は反重力エネルギーを扱えます』
「そうか」
空間にあいた穴が閉じ、浮いていた物が全て床へと落ち、
周囲を騒がせた。
『敵はブラックホールを使用。反重力ベストを装備の上、慎重に死角からの全範囲攻撃を行ってください』
連絡されてる!?
「もういいよ、私自身がコイツを吸収する」
その言葉と同時にロングコートのボタンを外し、
奴に覆いかぶさった。
するとそこからはまるで手品だ。
奴の居たところに奴の足だけが残り、
フィオがコートのボタンを掛けなおしている。
「何をしたの!? 」
「コートに喰わせた。私は何年か前に死んで、取り合えずこのマフラーに魂を宿したの」
「へ〜凄いね」
「ミッション終了ですよ。貴方の師匠が魔物を率いてこの建物を落すまでに要人の暗殺と、内部構造の連絡は終了ですよ」
『終了なものか!』
フィオのコートの中から奴の声が!?
その声は小さくなり続け、
声とは反比例しフィオのコートはもぞもぞと動き、
終に手が出てきてアリスを掴むと一気に引きずり込む!
耳元で風の過ぎる音が聞こえる。
そして、足を握っていた手はいつの間にか離れ、
下を見ると地面が迫っている!
「エンゼル・ウィング!」
羽を使い、降り立つ。
その降り立った所は、死体の上。
腐敗せず、ハエ一匹居ない綺麗な死体だ。
死体は島を形成し、島の中心には、
死体の上に立っているとは思わせぬような紅い美しい棟が建っている。
「…何処?」
ポケットから地図を取り出し、コンパスを確認する。
アリスのコンパスは特別製で、地図の上に置くと、
現在地を指す。
しかし、コンパスはグルグルと回り、何処も指さない?
突拍子も無いことをふと思いつく。
この世界は存在せず、表の世界の裏にあるのではないか?
ためしに、地図を裏返し、透かしながら表とは左右対称、上下逆に書いてみる。
するとコンパスはクルリと回り、ただ一点を刺した。
"アーレイン教会"
もう少し調べてみようと思いポケットを探ると、
小さな木製のゴブレットを取り出し、砂とはいえない血の固まったような物を掬い取ると、ゴブレットはアリスにこう告げた。
『死者の島!不死鳥の棟の前!』
地図の何処にも載っていない、世界の何処にも無い、
正体不明の場所に出てしまったと言う事だ。
よくゲームであることだが、現実では有り得ない!
「取り合えず、棟を調べてみるかな。かえる手がかりが有るかも知れないし」