ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Episode43 不死鳥の棟 ( No.139 )
- 日時: 2010/06/12 21:04
- 名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)
タタタタタタタタタタタ……
アリスは棟の階段を勢いよく駆け上がる。
しかも、単調な音ではあるが、10段以上飛ばしながら上っている。
階段を駆け上がること30分、やっとの思いで棟の最上階へと到達した。
中心に、止まり木があり、周りを見渡すとアーレイン港の町が見えた。
地図を確認すると、丁度教会の上から見ている状態だ。
「待ってたよ、アリス」
この声、聞き覚えがある。
フレアだ!
「何で君がここに居るの?待ってたって、どういうこと?」
「どうもこうも、君が神を殺す原因になるらしいからって、事で召集をされてね。悪いけど君にはここで死んでもらうよ」
「召集されたって事はさ、君は本物って事だよね?」
「そうだけど、君では私に適わないよ?」
フレアが視界から消え、誰かが後ろから肩をつかみ、
剣を振り下ろしているのであろう音が聞こえる。
危ない!
とっさに避けたが、右腕が使い物にならなさそうだな。
肩を掴んでいる腕を握り爆発させる!
その腕自体は吹き飛んだが、フレア自身は何事も無かったかのような顔をしている。
ダメージは、殆どないだろう。
「私の腕吹き飛ばすなんて、とんでもない魔法だ。速く君を殺さないと」
フレアが向かってきたのを確認し、
カウンターをあわせて殴り飛ばす!
ドズ…ゥゥ…ゥン…
止まり木に直撃し、遥か上空から剣がアリス目掛けて落ちてくる!
とっさに避けたが、使い物にならなかった右腕に突き刺さり、
激痛がアリスを襲う!
「痛い?これはね、不死鳥を殺すために作られた剣、月宝刃。唯一存在する、対不死鳥用の武器さ」
うずくまっているアリスに警戒せず、剣の能力をベラベラと説明したのが、
フレア、貴様の敗因だ。
フレアが剣を拾い上げようとしたのを足で蹴り上げ、
アリスがそのまま手に取ると、一気にフレアの心臓目掛けて突刺す!
その直後、糸の切れた人形のようにフレアは口から血を吐き心臓の鼓動を止めた。
「悪いね、私も生きる権利はあると思うから、私は私を守るために戦うよ。何処かで見てるんでしょ、カミサマ?君は自分を守るために私を殺そうとしている。私は私を守るために、君を殺すよ」