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Episode44  師 ( No.140 )
日時: 2010/06/12 20:56
名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)

取り合えず、この上に行くには止まり木を登るべきだ。

「デビル・ウィング」

音速飛行の可能な悪魔の翼。
一気に止まり木の頂上を目指す!
途中に…だ、上から攻撃が飛んで来る!
敵が…まだ居るな。
上る途中、龍を何体もなぎ倒し、
ただひたすら速度を上げながら頂上を目指す。

そして、分厚い雲を突き破り、止まり木の頂上に到達すると、
なんとそこは湖になっていた。

「キレイな所ね」

「その綺麗な所で、アリスは死んじゃうんだよ。殺したくは無いのにさ」

目の前に現れたのは、他でもないアリスの師、
アリソン・F・セイファート。
何故ここに…?

「今は政府の制圧中でしょ?」

「召集されたの。誰もあの馬鹿神には逆らえない。悪いけど、ここにアリスの墓標を立てることになるよ」

師匠はそのまま消え、現れたと思ったら私を軽く殴るとまた消え、それを無限と繰り返し、3時間が経った頃、
私と距離を置き、現れた。

「悪い、アリス。殺しちゃうよ」

その言葉の直後、私を中心に凄まじい爆発が起こり、
止まり木の頂上の湖の水を一気に吹き飛ばし、
止まり木のきしむ音が聞こえた。

「私は…死ぬのかな?」

「アリス、よく聞きなよ。私は今からアリスの剣で死ぬ」

「えッ!? 」

「黙って聞け!私自身、自殺が出来ない様に作られてる。だから、その剣で私を刺せ!何としても生き延びるんだ!神は私より弱い。かと言って逃げるような愚か者でもない。だから、アリスにも勝機はある!爆発が収まると同時に私を刺せ!誰にだって生きる権利はある。神だからと言って剥奪していいものでもない。私はその生きる権利をアリスにあげる。師匠っぽいでしょ?」

結局そこか!! しかし、良い人だ。
殺せと言われれば言われるほど、殺したくなくなる。
これが人間らしいってことかな?
爆発が収まると同時に、師匠の姿を確認したが、
躊躇する。
やれ!殺せ!動け!私の腕!
やっとの思いで動くと、不死鳥殺しの剣を心臓に突刺し師匠を殺した。

「……」

良い気分ではない。
気分は最悪だし、何より神に対する怒りは頂点へ達し、
止まり木の頂上の中心にあった像を叩き壊し、
手に触れる物全てを破壊した。

「荒れるでない、貴様は死なねばならんのだ」

お出ましか、良い度胸してやがる!
イマスグニデモ…コロシテヤルヨ…

「怖い怖い、我を殺す気か?身の程知らずが」

「身の程知らず?私が君を殺せるなら、身の程知らずとは言わない」

「我を殺せるわけが無い」

「だったら私を殺そうとしたのは…ナンデカナ?」