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Episode48  Fate 【運命】 ( No.153 )
日時: 2010/06/15 21:35
名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)

「あぁ、早かったな。ゴンザレス」

「こっちも港でひと働きしてきたぜ?運び屋を襲ったんだ」

うっわ、こいつの名前ゴンザレスとか…ププッ!
とか思いつつ、笑を殺しながらアリスはそいつに金の入ったバッグを見せると、
興奮したかのようにそいつは広場の中心にある大きな建物へと走っていった。
……あれ?前こんな建物あったっけ?
クィークとの戦闘に必死で気が付かなかったのかな?
アリスは直ぐに周囲を見渡しクィークを探したが、
何処にも居ない。
やっぱり、騒ぎを起すべきかな?
アリスはめいっぱい息を吸うと、

「侵入者だ〜!!!」

大声で吐き出した。
声は大きく音源が分からない、
『侵入者』と言う存在と、今の声は何処からか、
と言う事で、山賊たちの頭の中はいっぱいになる。
それが狙いだ。
騒ぎを聞きつけたクィークが…ほら、木の上で見物している。

アリスは被っていたゴンザレスの顔の皮を引き剥がすと、
瞬時に元の姿へと戻り、山賊の目の前を横断して見せた。

「侵入者だ〜♪クィーク、迎えに来たよ」

山賊達がアリスの言葉に耳を貸さず、
直ぐに殺しに掛る!
前にも山賊を相手にし、大半を殺してしまった。
この世界がもしパラレルワールドならば、
アリスのチョットした行動でその先の未来が変わるかもしれない。
山賊の攻撃を全てかわし、クィークノ目の前へと
瞬時に間合いを詰める!
その直後、クィークがこう呟く。

「驚きましたよ、まさか本当に来るなんて」

クィークの言葉にアリスが反応する。

"本当に来るなんて"…?

今の言葉、誰かがこの世界でのクィークが今後どうなるのか、
このクィークに教えたって事・・・?
誰が !? ……一体誰が教えた?

「誰に私のことを聞いた?」

「誰にって、『予言者』ですよ。金の長髪を束ねた、感情により瞳の色が変わる不思議な方です。2日ほど前に来ましたよ?私の力が必要だ、ここに来る海賊に加勢しなさいと言ってましたね」

金髪で髪が長く、束ねているかどうかは知らないが、
そこへ持ってきて瞳の色が感情に左右される…。
恐らく私の師匠だ。

「クィークの力が必要?……クィークとの運命的な出会いを感じちゃうよ」