ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Episode49 国際病院精神科 ( No.156 )
- 日時: 2010/06/16 21:32
- 名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)
「私も貴方とは初対面ではないような気がしますね。昔…本当に昔に、私が死ぬ前に会った、そんな感覚…」
「君は加勢しろと言われたんだよね?その気はある?無い?」
迫り来る山賊を背に、アリスは言葉を続ける。
「私の船の船員として、私の船へ乗るなら仲間と見る。そうでないなら、この場で君コートから命を引き剥がし、無防備になった魂を破壊する」
「考えさせてもらえますか?」
「どうぞごゆっくりッ!」
直ぐそこまで迫った山賊たちの攻撃を受け流しながら、
アリスはクィークの返答を待つ。
ほぼその同時刻
港に一隻の今の時代には中々珍しい木製の船が来ていた。
今の時代、船と言えば水と接した面が磁石のように水と船底を引き合う不思議な石、
破水石の物が殆どだ。
その船から、紫色の髪をした風変わりな少年(?)が、
尻尾が生えていて猫耳があったり、
可笑しい位目深にフードを被った小さい奴等を引き連れ、
アーレインの森へ向かっていった。
「フィオ、アリスは何処に行ったか分かるか?」
フィオと呼ばれた半猫の亜人であろう女は、
周囲を見渡し、鼻と耳をヒクつかせると、
一定の方向を指差し、
「アリスの臭いはあっちの方へ約2km。でも、途中で臭いが途切れてるから結界が張ってあると思う。探すのは面倒かもね。でも、今は戦闘中みたい、私には今アリスが何処にいるか、音だけで分かるよ」
「OK、それで十分だ。フィオ!案内頼む」
「りょーかい、副船長」
たったそれだけのやり取りで、
森へと入っていった。
一方アリスは……
「どう?考え始めて5分位経ったけど、どうするか決めた?」
とんでもない数の山賊に息を軽く切らしながら、
クィークの返答を待っていた。
その会話を機会に、山賊たちが総攻撃を仕掛けてくる!
「殺さないように倒すのは面倒ね…!」
突如、アリスの目の前まで迫っていた山賊の1人が、
急に意識を失い、その場に大の字に倒れた。
「良いでしょう、船長。協力しますよ」
「心強いよ。で、どうする?この後」
「私に考えがあります。私の最も信頼する戦闘のエキスパートを出所させましょう、そいつなら貴方の神を殺すと言う目的も、場合によっては1人でこなしてしまうでしょう」
「分かった、場所は?」
「国際病院精神科のφ(フィー)棟に収容されています。過去最悪の大量殺人者、ゾディアック・アレステンです」
「フィーのゾディアック・アレステン?ついこの間まで捕まらなかった魔人でしょ?確か、1968年〜5129年、つまり今年まで3134年間ずっと裏世界のトップだったとか言う…」
「ええ、ついこの間まで私は彼と組んで暗殺家業をやっていましたしたからね。最も、私が死ぬ前までですがね」
思わぬ収穫だ、ゾディアック・アレステンは大悪魔サタンに匹敵する力の持ち主!
上手く利用できれば神を殺すのも夢ではない!
「じゃあ、この山賊を倒し終わったら出発ね」
「了解、キャプテン」