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Episode50  ゾディアック事件  ( No.158 )
日時: 2010/06/16 21:31
名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)

5分後、一通り山賊を蹴散らし、山賊の隠れ里の魔方陣を踏み越え、
外界に出た直後だった。

「アリス!こっちだ、話がある!」

私を呼び止めたのはほかならぬ師匠の船の副船長、
ヴァム・ノクターンさんだ。
確か副船長のはずだったのだけれど…。

「師匠の言う事はきちんと聞け、むやみやたらに人を襲うな!」

「師匠って?」

「私が師として君に魔法を教え、力を与えたでしょう?」

「いや、言ってることがよく分からないよ…?」

何事だ?
師匠は船長のアリソンだったはず、
何故ヴァムが師匠だと言う?

「船長、もう直ぐ発作が来るのではないのですか?」

フィオ!
今何て言った !?
船長 !? ヴァムは副船長のはずだ!
何故船長と言われている……?

「アリソンは?」

船長のことを思わず聞いてしまう。
しかし、ヴァムは聞いた事がないどころか、
いきなり知らない人の名前を言われたかのように、
呆気に取られた表情をしている。

「アリソン?誰の事ですか?」

「だから、船長よ!」

ついついカッとなる。
実際に魔法を私に教えた師はアリソンで、ヴァムではないからだ。
しかし、直ぐに頭を冷やすとアリスは話の内容を一気に変えた。

「ヴァムさん、ゾディアックって知ってますか?」

「ゾディアック?知っていますよ確か、1968年から1974年のサンフランシスコで警察が確認できた被害者5名を殺害したのが最初で、1990年代には、ニューヨークでこの事件を模倣した連続殺人が発生した位有名な人でしたね。それがどうした?」

「今から会いに行くんだけど、船員になるように説得したいんだ。協力してくれないかな?」

「悪いねアリス、船員は自分で説得してこその船員だと私は思っている。だから、力を貸すようなことはしないよ」

「そっか」

ちッ!ダメか!
しかし、クィークのかつての仕事仲間だ、
多分2人で行けば平気だろう。
ヴァムたちと別れ、アリスは直ぐに船へと飛び乗ると、
眠っていたブラッディをたたき起こし、
直ぐに国際病院へと船を向かわせた。
船を向かわせたといっても、国際病院は陸の上だ、
何か乗り物がほしいな。

「ねえ、ブラッディ。乗り物なんか無い?陸の上走れるようなやつ」

「アリスの持ってる魔法道具の№…え〜と、204位にバイクがあるはずだよ」