ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Episode51 伝説の殺人鬼 ( No.159 )
- 日時: 2010/06/17 20:51
- 名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)
今、大都市の遥か上空をツバサを羽ばたかせ飛んでいる。
え?何故バイクじゃないかって?
それはね……
「まさか水上バイクとは思わないよ!何でそういう風に勘違いするのさ !?」
「んな事言うなよ、俺だってイキモンだ。間違いや勘違いくらいある」
まあいい、今デビルウィングで飛行中だ。
何故デビルウィングかという質問があっても、
今はスルーしてもらいたい。
もう少しで棟に着くのだから、
話している暇など無い。
「オイ、アリス!ぶつかるぞ!」
ボーっとしていて危うく収容棟の外壁に正面衝突しかけてしまった。
しかし流石にぶつかるわけにもいかず、
一気に急上昇し、棟の屋上へと降り立つ。
すぐさまブラッディはアリスの肩から
飛び降り、人の形になると、
クィークの憑依しているコートをアリスから引ったくり、
地面へと投げつけた。
「痛いですよ、幽霊だって痛みは感じるんで投げないでくださいブラッディ。侵入は上手くいきましたね船長」
「いや、まだ棟の中に入ってないからまだよ。それにしても、クィークのコートを持っていくだけでいいって分かってやっと考え付いた方法だからね〜。クィークのお手柄だよ」
「喋ってないで戸をぶち破るぞ、憲兵だって精神病棟だ、死ぬほど居る。それも、魔法を使う奴が大半、アリスのレベルでは難しいかもな」
この馬鹿猫は…!
毒吐くわ、役に立たないわ、
何で今連れてきてたんだろう?
今一連れてきた理由がよく分かんない…。
ドン!
あ、今役に立った。
棟の扉を蹴り飛ばし、轟音で周囲の憲兵をひきつけてくれた。
……相手の役に立ってもこっちの役には立たないのな、
本当になんで…
「こんな馬鹿猫連れてきたんだろ?」
アリスは愚痴を言いながらも音に反応し寄ってきた憲兵の腰を瞬時に捻り上半身と下半身のムキを真逆にして見せた。
そして、
「貴様ァ゛!あ゛…が…!!!、!!!」
喉を潰し、声を出なくする。
不用意に人間を殺してはいけない、そう聞かされたし、
何より、ニンゲンとて生き物だ。
自分の意思で死にに来ているのならまだしも、
仕事で死んだとなっては余りに哀れだ。
「馬鹿猫ッ!」
「はっ…ハイィッ!」
アリスの凄まじい気迫に気おされながら返事をする。
「船へ戻ってろ!」
流石にこれ以上の邪魔は勘弁願いたい、
速く救出する前に、多分この猫のせいで応援を呼ばれ、
魔力の大量消費と無駄に多く人間を殺す事が目に見えている。
「ここからは私達2人で行きます。ネコさんは船へ戻ってください」
アリスと同じことをクィークに言われたとたん、
ブラッディはぶち切れた。
「テメッ!俺のが強いだろうがッ!なめた口きくんじゃねえ!」
「ハイハイ、戻っててね〜。デビルズ・ゲート!船へ直行!」
某馬鹿猫の足元にワープゲートを呼び出し、
船へと幽閉。
これで邪魔が居なくなった!
「φの何番?」
「この廊下の向こうから666番目です」
「また…縁起の悪い数字ね」
言われた通り、番号を数え、その檻へと向かう。
幸い、このフロアの憲兵は先刻の1人だけだったらしく、
遭遇して戦闘になるようなことは無かった。
ゴンゴン!
クィークが檻をノックする。
「ピザの配達ですよ〜」
おい!
ち・が・う・だ・ろ・ッ・!
流石にその洒落はアリスには通じなかったらしい、
アリスはクィークを軽く睨む。
「何か用か?クィーク」
「久しぶりだね、ゾディアック。今日の用事はいつもとはちょっと違う」
「その女は…誰だ?さっき来た女の仲間か?スカウトなら受けるぜ?俺は人を殺すのが大好きで大好きでしょうがないんだ。最近殺してないしな、この手錠のせいでここから出ることすら出来ねぇ」
ゾディアックを縛っていたのは、太いレプトン石の鎖だった。
これでは伝説の殺人鬼も逃げられないわけだ。