ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Episode52 宝刀・月戒刃 ( No.164 )
- 日時: 2010/06/19 15:30
- 名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)
「分かりました、鎖を解くとしましょう」
クィークが慣れた手つきでゾディアックの手足を縛る鎖を触ると、
不思議な事に鎖は砕け、地面へと吸い込まれ消えた。
レプトン石は魔力による交渉はまったく受けないはずだが、
何故クィークには壊せる…?
「何をしたの?」
「何をしたって…船長、私の生命波動とレプトン石の物質波動は同じらしいんです。それを共鳴させ砕いたってところですよ」
「じゃあ、声でも出来るのね?」
「音の高ささえ合っていれば出来ますよ。レプトン石は完全に純粋でなければ機能しませんからね…440hzの音で砕けます」
440hz、この星の上に存在する完全に純粋な物質を弾くと、
必ずその高さに達する。
この星の上での決まりのようなものだ。
「敵に見つからないように来たようだが、悪いな。1階の押収物保管室に俺は用がある、先に下に降りててくれねえか?」
「場合によっては手伝うよ?」
「そうか、俺の刀を取りに行くんだ」
刀…?特別な物なのかな?
「どんなヤツ?」
「宝刀、月戒刃。世間では月の魔力を操る妖刀と言われているが、その刀の選んだ者には強大な力をあたえるっつーシロモノだ。どうも俺には手放せないパートナーでな」
月戒刃!
今の相場で兆単位どころか、京単位にすら達する最も高価な剣の一つ!
しかし、持っているだけで所有者に災いをもたらすとされる刀だ!
「んじゃあ、取りに行くぜ!」
ゾディアックが指をパチン!と鳴らすと、
床に鋭利な刃物で切り開かれたかのように亀裂が走り、
檻の重さに耐え切れず一気に抜ける!
「相変わらず派手好きだね〜」
「その派手が俺のやり方だァッ!」
そういうのは世間では、無茶苦茶って言うんだよ!
敵に感づかれるだろうし、応援部隊もきっと凄く沢山来るよ !?
「敵が応援部隊呼んだらどうするのよ!」
「その時はその時!久しぶりに腕が鳴るぜぇ!」
ドズゥゥゥゥ…ゥゥ……ン!
最上階から200のフロア、およそ500mを落下し、
最下階の押収物保管室の天井を突き破り、すぐさま刀を探す。
「よっしゃあッ!有ったぞ!」
見つけたか!早速脱出……オイッ!
それ、キセル!
探してるの刀だよ!
「おお、わりぃな。あ゛〜と…何処やったっけかな〜」
瓦礫を蹴散らし、ゾディアックは刀を探す。
私も、クィークも、探す。
「居たぞ!捕らえろ!」
兵隊は私達を探す…?
しまった、見つかった。
「有ったぜ!」
丁度それと同時に刀を発見、その刀を1回振るう。
すると不思議な事に、一振りで全員の首が胴体から崩れ落ちる!
「やっと出所だ、半年シャバの空気が吸えないだけで参っちまいそうだったな」