ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Episode61 三賢者 ( No.194 )
日時: 2010/06/29 17:52
名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)

魔を司る者。
それは、この星の三人賢者を指す。
1人は現象、1人は空間、1人は時間を操り、
この星の均衡を保つ使命を持って生を受ける。
しかし、その三賢者は生きているだけで良い。
存在がこの星に均衡をもたらすのだ。
しかし、三賢者が死ぬと、賢者としての存在意義が別の個体へと移る。
移るのは完全ランダムで、如何に弱く、
愚かな物にすら賢者としての使命は受け継がれる。
しかし、三賢者の内の2人の同意があれば、
賢者としての使命をその身に受けるものを指定できる。
そこで指定されたのが……。

「そうか、私は三賢者の1人だったのか。意外だな、三賢者であろう者は師匠と、ヴァムと、そこにいるお喋りさんだけだと思っていたのに」

「今頃気が付いたか、もう遅い。死すが良い、魔の賢者よ」

ドスッ!

勢いよく剣が振り下ろされ、アリスは死んだ。
皮肉にも、生涯で最も後悔の残る瞬間だろう、
自分が三賢者の1人で、最後に殺された者だと。





不思議な感覚だ。
肉体が無く、魂だけで空中をさ迷っている。
天国なんて無いだろう、
地獄はあるかもしれない。
だって、サタンは実在するし…。

「地獄って、どんな所なのかな……?」

「地獄?二度とこの世界に来たくなくなるぜ?アリス、残念だったな。神は限界まで力を使った、今はチャンスだが、倒せるものは皆無。どうすればいいと思う?」

「どうしようもないよ、皆死んだんだから。出来るなら、あの馬鹿殺しておきたかったけどさ。このままだと自分の所有物って言い張って人間を殺して命を力の肥やしとして生きていくだろうし、自分にとって都合の良い世の中に変えるなんて、師匠みたいな反勢力が居なければやりかねない。そんな世界、転生した時詰まらなそうでしょ?」

「そうか。……最後のチャンスだ。あの戦闘でお前が殺された直後に、俺が時間を超えアリスを飛ばす。アリスは不死鳥だ、その力を完全に使い切って回復しろ。ただし、これをやると二度と生き返れないが……あの世界で再挑戦、するか?」

コンティニュー?
これが正真正銘最後のチャンス。
言い換えれば、最後の絶望をこの身に受けるきっかけとなる。
しかし、このチャンスを使わない臆病者でなんて居られるわけない!

「やるよ、今度こそ仕留める」

「よし、その意気だ」