ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

第11話  名無と疾風 ( No.22 )
日時: 2010/05/02 16:51
名前: 禰音 鏡幻 ◆akHvV3kiSo (ID: cYSZrqDn)

「ああ、噂の強い奴等ってあの女?」
「男の方はからっきしらしい、女の方に注意しろ。プロ並の警戒網の広さ…捕まったら致命的だ」

その会話が耳に入ったのか、
キキョウは小屋の窓から辺りを見渡す。
しかし、誰も居ないと分かるとテレビの方へ向いて動かなくなった。

「メイム、近寄れるか?」
「う〜ん…そうだろ?5mまでなら何とか行けるかな?」

暗殺者にとって、5mは致命的な間合いだ。
ナイフで殺すなら少しの隙が出来てしまい、
銃殺しようものなら構えるまでの隙を突いてナイフで殺られる。
幾ら弾道を読もうと、たった5m、
弾道が読めたところで避ける時間は無い。

「よし、メイム、頼む」
「OK、疾風」

その言葉が合図。
名無は気配を完全に殺し、
2人に近づく。
そして懐から投げナイフを数本取り出し様子を伺う。
2人とも気が付いていない、
当然だ。
殺し屋と軍人の気配を殺す技術を教え込まれて育ったのだから!
そんな自信は脆くも崩れ去ってしまった。

「オイ、窓の外に居る奴、出て来いよ」

男の方が気が付いたらしい、
ドンドンこっちに近づいてくる!
それを見た疾風はマシンガンを構え、
狙う。

「ご…ごめんなさい!」

勢いよく窓枠の下から立ち上がる。
相手にしてみれば予想だにしない年齢、
反応だろう。
その隙を突き、

「俺が仕留める」

ダダダダダダダダダダダダダダダ!

白刃が隙を見せた直後、
疾風が近くの物陰からマシンガンを連射する!
小屋は木製、
普通のマシンガンですら壊れる物が、
強化されたマシンガンになす術など無い。
当たり前のように小屋は崩れ、
2人は瓦礫の下へと消えた。

「ナイス!メイム!」
「だね!疾風さん!」