ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 第17話 鬼さんこちら、手のなる方へ ( No.37 )
- 日時: 2010/05/07 21:33
- 名前: 禰音 鏡幻 ◆akHvV3kiSo (ID: cYSZrqDn)
ギィイィイン!
金属音が辺りに木霊する。
その音と共に、歌声が周囲の物体という物体を打ち砕いていく。
その中で、一番苦戦しているのは紛れも無い白刃だ。
相手は3人、剣術の達人に、ビームソード、
そして大本が分からない気配の無い弾丸の嵐。
「ッたく、切がねえ!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪…次は強烈よ?サクラ作、鬼さんこちら、手のなる方へお聴きください」
一曲を歌い終わると次に歌い始めるのは前に
歌っていた歌よりも、
更に破壊に長けた、強烈な物へと強くなっていく。
その声に当てられたのか、3人の動きが鈍る。
その隙を見逃さず、白刃のナイフが空を舞い、
2人を仕留めた。
残るは土方…?
ひざを突いたまま動かない…死んでいる?
そんな馬鹿な!?
「最終章、鬼さんこちら、手のなる方へ。万物火葬曲」
サクラは全員が倒れたにもかかわらず歌い続ける。
その歌声が聞こえる範囲の物が、
終に自然発火し燃え出すと、
3km先の火薬庫が大爆発を起し、地面が陥没、
残っているのはサクラと俺の立っている地面だけとなった。
その爆発に気が付いたのか、サクラが歌うのを止め、
俺の方を向く。
「もう、私達だけなんだね。殺しあわないと行けないんだね、殺されないといけないんだね」
「待てよ、お前が殺される事は無いから」
「生き残れるのは1人だけ…くたばるのはお前だァ!」
まだ見たことの無い人格か!?
銃を俺に向けて躊躇なく発砲、
澄んだ綺麗な空が俺にはその瞬間、
紅く染まって見えた。
死ぬのか…?
「ダメ!逝っちゃダメ!」
シア・・・かな?
何か言ってるけど、もう聞こえないよ。
だって、死んだんだからさ。
でも、まだ死ねないみたいだ、
今のうちに伝えておくよ、
俺が…今までどうしてたかって…。
「シア、孤児院のシスターに伝えてくれよ。俺、死んだんだっ……て。お前にも一個……頼みがある」
「恭ちゃん…」
「コレ、大事に持っててくれないかな?俺が大切にしてきた物だ、壊したりしたら…承知しねえからな。俺は捕まってから確信した事がある。…それは、政府の奴等はとんでもない実験に囚人を……」
その言葉が最後、白刃は動かなくなった。
シアの手には、青白いビー玉のような物がついたペンダントが握らされていた。
そして…
ドン!
一発の銃声がシアを突き抜けた。
「よし、その女を回収しろ。他の瀕死の奴等もだ、…コイツはダメだな」
顔面の半分以上が焦げて倒れている土方を見て呟く。
「………なんか大変な事になりそうだな」
政府の生物実験機関の人間を、
土方は死んだように倒れたまま見送った。