ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Episode 3  怪盗Q ( No.55 )
日時: 2010/05/17 21:16
名前: 禰音 鏡幻 ◆akHvV3kiSo (ID: cYSZrqDn)

アーレインの港に津波の高さを調節し、
とても上手に船を停止させ、
碇を下ろすと直ぐにブラッディは猫の姿に戻った。
何でも、賞金首なのでそこ等辺を
人間の姿で歩き回っていたら賞金稼ぎに追い回されるのが嫌らしい。

「で、今回は何が目的?アーレインなんて滅多に来ないだろ?」
「カンがいいわね、今回は…」

懐からコンパスを取り出すとクルクルと回り、
北を指すはずの針が直ぐ近くの民宿を指した。

「怪盗Qの捕獲でーす!」
「また面倒な事になりそうだな」
「失礼な、怪盗Qのおかげでコンパスがこの海域では使えないのよ!凄く困るでしょ!?」
「俺は海の何処にいるのかぐらい水の臭いで分かる」
「…あんた達猫と一緒にしないでもらえるかしら?」

多少の口喧嘩をしながら民宿に入ったとたん、
とんでもない殺気と強面の男共数人に囲まれた。
…ゴロツキって奴か?
面倒な奴等が出てきたもんだ。
そんな考えが顔に出たのか、
胸倉を掴まれ壁へと叩きつけられた。

「おうおうおう!にーちゃん!何か文句あんのか?あ゛?」
「文句?幾つかあるよ。まず一つ目、私は女だ。二つ目になんで君達は私にいきなり絡んできた?私の素通りが気に入らなかったの?情けない大人だな。三つ目、最後に一個質問。君達、殺されたいの?」

瞬時に民宿内の殺気がアリスの殺気一色に染まった。
ソレを気が付かないほどとろくも無いだろうとも思ったが、
男達は怯まない。
う〜ん、困った、こいつ等かなりトロイ。
コレなら良いかな?

「いい加減離してもらえる?あ、離すのは私か」

瞬時に男達との立場が入れ替わり、
アリスの胸倉を掴んでいた男の胸倉をアリスが掴んで
壁に押し付けていた。

「君達、山賊だろ?怪盗Qのネタ、何か持ってない?」