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Episode7  氷の稲妻 ( No.61 )
日時: 2010/05/19 13:42
名前: 禰音 鏡幻 ◆akHvV3kiSo (ID: cYSZrqDn)

「いいね、久方ぶりに腕が鳴る」

そいつは仮面を付け直すと、
何やら小声で呪文らしき物を唱えだした。
…何だか嫌な予感がする、
黒魔術の類か?

「深緑の雲よりこの森を荒らす者へ裁きの雷を!フリーズサンダー!」

ドォオン!

巨大な雷鳴と共に、
アリス目掛けて半透明の雷が落ちた。
……氷?

「うーん、避けられたか。ならもう一発」

ドォオン!
ギリギリ反応するのがやっとだ、
恐ろしく早い上、こんな魔術は初めて見る。
氷で出来た稲妻だ。

「直撃したら痛そうだね」
「ああ、痛いどころじゃすまねえな」

更にもう一発氷の雷が襲い掛かる!
発生箇所は森の木の葉。
恐らく木の葉に付いた水滴を
高速で地面に叩き付け冷却した結果、

「こうなるのか」
「何がだ?」
「いや、だからさ、この森を日干しにすればこの技使えないよね?」
「確かにそうだが、今は月しか出ていないぞ?」
「だったら私が…太陽の代わりをすれば事足りるよね?」

その言葉が合図だったかのように、
周囲が熱を帯び始める。

「不死鳥の体温は、中々侮れないよ?」

夜の黒い森が赤く光る。

「わ…ヤバイかもな」