ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Episode11 発作 ( No.71 )
- 日時: 2010/05/29 16:14
- 名前: 禰音 鏡幻 ◆akHvV3kiSo (ID: cYSZrqDn)
「死ぬって何でだ?」
「あのさ、ヴァムさんって、こんな黒かったっけ?」
「ああ、アリスは知らないのか。副船長の中身は船長のドッペル君だ、いつもはボディスーツを着てるはずなんだが…」
そんな話をしている2人をヴァムが睨む。
「早く離れろ!死にたいのか…!!」
凄まじい気迫に3人は圧倒される。
洞窟が多少のそれで崩れるのが見て取れる程の強い邪念、
それが周囲の魔物を強化しているらしい。
「早くしろッ!俺から離れろ!」
その言葉と同時に洞窟が崩れ、
4人は生き埋めになった。
「…あれ?死んだのかな?生きてるのかな?」
「喋ってる時点で生きてるだろ」
「それもそうだね、クィークって頭いい」
「褒められてる気がしないな」
その言葉が沈黙を招く。
その4秒後、アリスが土を退けにかかる。
「デビルツリ〜」
瞬時に巨木が生え、
埋まっていた4人を勢いよく地面から吐き出し、地面へと落した。
落ちるまでは計算していたのだが、
落ちた場所が計算外だ。
何とこの周囲をうろついていた魔物の前で、
その魔物はいきなり現れた4人を食おうとしているかの表情を浮かべている。
「うわ、マジか」
「早く逃げろ、俺が俺で無くなる…あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁ゛あ゛!」
ヴァムの唸り声がドンドン大きくなる。
それに比例し、黒い霧のような体が、
人の形を失っていく。
「う゛?ゴアァアァアァ!」
気が付けば巨大な黒龍と化している。
逃げなければ…巻き添えを食らうだろう、
逃げろ、離れろと言っていた理由が今頃判明し、
それと同時に言われた通り、
逃げておけばよかったという後悔もこみ上げてきたが、
ブラッディは平然と見物している。
「逃げるよ!馬鹿猫!」
「馬鹿猫って言うな!ヴァムは平気だ、龍化をコントロールできッ——…」
ドォオォオォォオォオオン!
100キロ離れていても聞こえるのではないか
と思うような轟音が閃光とともに周囲を揺るがし、
森の木はなぎ倒され、魔物たちは血にまみれ、
周囲の休火山までもが噴火した。
「あっぶねえ!」
「うわ〜…逃げるよ!」
「言われなくてもそうするべきだったな」
それを見た3人は一気に船のあるであろう方角へと走る。
それを見た港の人々が船で海へ、車で都へ、
避難したのは言うまでもなかった。
それを海から眺める人物が数人。
「あら〜…また派手に暴れてるね」
「船長、どうします?止めますか?」
「あ、うん、ワイフ、止めてきてよ」
「俺っスか!?」
ワイフと呼ばれたフードの男は小船に放り込まれると、
陸目掛けて船長に小船ごと投げ飛ばされた。
「小船の使い方分かってますか!?船長ォォォォオ!?」