ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

第7話  残り2500人 ( No.9 )
日時: 2010/04/30 17:44
名前: 禰音 鏡幻 ◆akHvV3kiSo (ID: cYSZrqDn)

心臓が異常なスピードで全身へ、脳へと血液を送る。
少し、頭を冷やして行動した方が良さ気だが、
そんなことの出来る精神状態ではない。

「顔色悪いよ?休憩する?」

心配したシアが提案する。
目の前で人2人を平然と殺した俺に対してだ、
何で…奴等を心配しない?

「何で俺から逃げないんだ?」
「だって、あの人たちはこうなって仕方ない事をしたんだよ?悪い事をしたら何時か自分に帰ってくる…私みたいにね」

シアはさっきまでの顔ではなく、
とても落ち込んだような表情へと音を立てて変貌した。
そして、俺の方を向いて言葉を続ける。

「私は貴方が…あの時、私を助けようとして政府に捕まったあの時・・・」
「いや、違う!あの時は釈放されてその後の反政府運動で・・・」
「嘘は聞かない!ほんとのことを言いなさい!あなたは捕まってから嫌がらせに来た政府要人を刑務所の檻越しに首を捻り切って殺したって!あの時からずっと私の前から姿を消して戻って来なかったって!」

バレてる!?
何故!?

「言ったよね?私がプロだって。……それで、シアは刑務所まで会いに行くために…!」

キキョウが出てきて言葉を続ける。
確かに、俺の服役していたのは幽閉都市とまで呼ばれていた、『幽閉都市シニアト』。
一般人は立ち入れず、
死刑確定の囚人が檻に閉じ込められている場所だ。
進入する物は皆無、
否、正確には侵入したが最後、
囚人と同じ扱いを受け、
死ぬまで幽閉される地獄!
それ故、侵入しようとする者など居ない。

「それは——…」

口を開いたその時だった、

『ピーンポーン。参加者5000人が開始早々2500人まで減った!これからが本番。それと、追加ルールだ。今から、町の至る所に武器弾薬が設置された。自由に使え!以上だ』

アナウンスが終わり、周囲の囚人がざわつくのが何となくわかる。
さっきまで静まり返っていた町に、
人の姿が目立つようになった。

「さあ、これからが本番よ。残ったのは、恐らく軍人、ヒットマン、特殊工作員かな?」
「うわ…物騒になってきたな」
「物騒なのは元からよ!」