ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Episode25 フィオ ( No.99 )
日時: 2010/05/29 15:06
名前: 禰音 鏡幻 ◆Kaim8JsO5s (ID: cYSZrqDn)

コンコン!

誰かがドアをノックしている。
零嘉かな?

コンコン!

再びノックする。
零嘉じゃあない、誰だ?
船員は2人ともここに居る、
…ヴァムか?
しかし、あの程度の傷、もう完治しているハズだ。

バゴォン!

その考えの直後、ドアが吹き飛び、
私の横で転寝していたブラッディの後頭部に直撃し、
そのまま気絶した。
ロシアンブルー種の猫が1匹、
戸のあった所に佇んでいる。
まさか、今のはこの猫が…?

「ミー…。アリス?」

喋った!?
今、アリスってハッキリと言った!
噂に聞いていた、ブラッディの嫌いなフィオ?

「フィオ?」

「ごーめーとう、私はフィオ。船長からのお使いで来たんだ〜。伝言だよ、今すぐに契約を打ち切りなさい。でなければ死んでもらうってさ」

死んでもらうって…破門のレベルじゃあない!
マジか、師匠は怒ったら怖いし、
何より強い!
多分この星の生態系の頂点と言っても良いだろう。

「指輪壊すと死ぬらしいんだ、その指令は聞けないよ」

「分かった、船長に伝える」

そう言うと、フィオは戸を元に戻し、一旦閉じた。
あれ?出て行くんじゃないの?

コンコン!

フィオが前足でドアをノックし、開くと風が部屋の中を駆け巡り、
フィオはドアに吸い込まれるようにして消えた。

「う゛〜ん、何があったんだ?頭が割れそう…」

「お客さんが来ただけよ」

「…この臭いはフィオか。今度こそ取っちめてやる」

コンコン!

その言葉の直後、ノックの音が部屋に響き、
零嘉がドアを開け部屋に入ってきた。

「そろそろ出て行ったほうが良いよ。もうじき政府の犬共がここの港に来る」