ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: この先、お人形以外立ち入り禁止(ご主人様(オリキャラ)募集中 ( No.16 )
- 日時: 2010/04/30 22:31
- 名前: 真紅 ◆Ko89POtU5A (ID: F35/ckfZ)
0-2「私が守ります」
「おい!お前…!?人間なのか人形なのか…!?」
「人形に魂が宿ったモノ…。人間と言うには未熟すぎて、人形と言うには完璧すぎる…。このような所でしょうか」
「何だよ、それ…」
とりあえず、互いに倒れこんだベッドから離れた。
「私のような人形はたくさん存在します。私が知っているのだけで、私を除き6体あります」
「皆、お前のように動くのか?」
「はい。その通りです」
「そうか…」
気色悪いが、興味はあるな。
「貴方は、私が守ります」
「…?」
その人形がそう言った途端、床から気色悪い物体が生まれてきた。
「なっ!?」
「心配要りません。この程度のドール、私一人で倒せます」
「…」
とりあえず、この人形にすべてを任せた。
「〜♪♪〜〜♪」
傍にあった笛を手にとって奏でる。俺が何となく、形が気に入って買った笛だった。
「キャアァァァァ……」
ドールと言われた気色悪い物体は、それを聴いて狂いだした。
「今です」
「お、おい!」
そして、クローゼットの中に俺を押しこんだ。
「はっ、てやっ!」
その笛で叩いたり突いたり、たまには蹴りを繰り出してそのドールと戦っていた。
「もう大丈夫です」
そして、俺に出てくるように言った。
「わ、血まみれじゃねぇか…」
「それなら問題ありません」
両手を胸の前でクロスさせ、左右に開くと、ベッドやカーテン、窓やカーペットに染みついた血が消えていった。
「すげ…」
でも、この人形が血まみれだった。
「貴方、名を何というのです?」
「俺は…遠藤 祐季」
人に名前を教えるのはあまり好きではない。馴れ馴れしく名前で呼ばれたくない。
「祐季様…」
確かめるように呟いた。
「お前は?」
「秋桜です」
「片仮名か?」
「いえ、漢字で秋桜と書きます」
「ふーん…」
「祐季様、お食事の時間です」
「…今行く」
「…」
人形は不思議なことを聴いたような感じだった。
「お前の分は持ってきてやる」
「…感謝します」
『食事』とは何なのでしょう?やはり、私も人間と言うには未熟ですね。
そして、1時間くらいたって戻ってきた。
「ほら、お前の分だ」
「秋桜です」
私にも一応名前はあります。名前で呼んで下さらなければ、契約は成立しない。
「…秋桜の分だ」
「感謝します」
契約成立。私も貴方も、互いから離れることはできません。
「食わないのか?」
「…どうやって食べるのですか…?」
「人形に食事はないからな。口を開けろ」
スープにスプーンを突っ込んで、すくって口元まで持ってきてやった。
「ん…」
開いた口の中にスープを流し込んだ。
「…美味しい…」