ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: この先、お人形以外立ち入り禁止(ご主人様(オリキャラ)募集中 ( No.17 )
- 日時: 2010/05/01 14:59
- 名前: 真紅 ◆Ko89POtU5A (ID: F35/ckfZ)
0-3「片割れ」
ここは闇の世界という店。まるで人間のように精巧な人形が作られ、たくさん置いてある所。
「タキシードうさぎさん、あたしを人間サイズにして」
「はい、桃白様」
そして、桃白が差し出した血を飲み干す。
「…美味しい。願い事を叶えてあげましょう」
「ありがと、タキシードうさぎさん」
そして、その身体が白い光に包まれ、人間の大きさになった人形がその場には立っていた。
「どう?人間に見える?」
「完璧でございます」
「ふふっ。あたしもご主人様が決まったんだから、ちゃんとしなきゃね」
「では」
軽く頭を下げる。美味しい血を下さった桃白様の願いを叶えたため、私は感謝されています。
「バイバイ」
嬉しそうにご主人様の元へ行く。
「…」
誰かに変われるということは、醜い争いの中にその身を放つのと同じ。ヒトの心を、自分のモノだけにしようという醜い争いの中に、何も知らない無垢な少女が入り込んだ…。
「あれ、何だ?この人形…」
ピンク色のお姫様のような服を着ている人形を見つけた。ふわふわのパーマで、毛先は方に着くかつかないかくらいの長さ。
「ずいぶん大きいな…」
よいしょとその人形を持ちあげた。関節は人間のように動き、柔らかい肌。まるで人間のようだった。
「高そうだし、売ろうかな…」
「ちょっ!?売るなんて何考えてんのよ!?」
「えっ!?」
今まで腕の中で死んだようにしていた人形が急に飛び起きて大声をあげた。
「あたしを売る!?ふざけないでよ!そんなんでご主人様が務まると思ってんの!?」
「いや…。あ…?えっ…?」
急に動き出した人形を落としそうになりながらも抱えている。
「って言っても、あんた、まだなぁ〜んにも!知らないでしょ?あたしの名前は桃白。水を司る人形よ!」
「いや、ボクが聞きたいのはそうじゃなくて、何で急に動き出したのかを…」
「別に驚かせるつもりはなかったんだけど、あんたが売ろうなんて考えてるみたいだから飛び起きちゃったわよ。あんた、名前は何ていうの?」
「朱夏…。天竺 朱夏」
「朱夏ね!宜しく、ご主人様っ♪」
「ご、ご主人様!?」
まるでお金持ちにでもなった気分だった。『ご主人様』なんておつきのメイドが言うことと思ってたから。
「そうよ。あたしは何があっても朱夏の言うことは聞く。朱夏から絶対に逆らったりしないの」
「ふーん…」
ボクの本性を知ったらどう思うんだろう。きっと呆れていなくなっちゃう。