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Re: この先、お人形以外立ち入り禁止(ご主人様(オリキャラ)募集中 ( No.19 )
日時: 2010/05/01 15:27
名前: 真紅 ◆Ko89POtU5A (ID: F35/ckfZ)

0-5「残酷な海と綺麗な星空」

「あ…」
秋桜の所に送ったドールが死んだ。このまま、たくさんのドールが死んでいったら青くて綺麗な海は真っ赤な血で汚れた海に変わってしまう。
「失敗したのね…。気にしなくていいわ。あのの強さは人並み外れているから」
「…」
首は千切れかけ、左腕はなく、足は膝下からなくなっている血まみれのドール。秋桜を倒す為に送ったドール。かなり勉強して、頑張って作ったドール。
「このドールに、永遠の安らぎを」
治癒魔法でボロボロだった躯体を直し、赤く染まりゆく海に流す。
「ここにいれば友達はできるわ」
私が今まで作ってきた秋桜に敗れたドールはこの海の中に葬っている。

「陽菜花…。また星空か…?」
「…嘉神君」
「今日は寒いぞ。気をつけろよ」
「わかった」
嘘。本当はわからない。私は寒いなんて知らないもの。
「綺麗だよな…」
「そうね。気づかないことが多いけれど、とても綺麗なの」
「あ、下に落ちてった…。あれって流れ星か?願い事すればよかったな…」
「いいえ、あれは流れ星じゃない。流れ星と言えば流れ星だけど、悲しい流れ星。願いを叶えるなんてものじゃない」
「じゃあ、何なんだ?」
「人が死んだの。横に流れれば願いをかなえる流れ星。下に落ちれば死を示す流れ星。新しく星が増えれば、新しい生命の誕生」
「へぇ…。星で解るんだな」
つーか、人形がどうやってそんなこと学ぶんだ?
「私はわかる。でも、わからない人もいる」
「ははっ。俺はそっちだな!」
「そう、わかるといいわね」
「え〜。でも、上ばっか見るのは疲れるし」
「そうね、たまには下も見なければ見落とすこともあるわ」
「お前さ…。人形のくせに博識だよな。言うこと哲学的」
「…そう?」
よくわからない。自分が想ったことを言っているだけだから。
「天才!俺より天才!」
「そうなのね」
自分が頭が悪いなんて、そんな恥ずかしいことを言っているのに、楽しそうな嘉神君。

人間って、不思議ね。