ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜〜アビリティワールドⅡ〜 ( No.5 )
- 日時: 2010/05/03 18:44
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
第1話 『悪夢の再来』
某日 東京都
夜の東京はネオンで飾られ、どの都道府県よりも美しく輝いていた。
そんな光景とは裏腹に、東京湾のとある港では一人の女性が瀕死状態で歩いていた。
「ゼェゼェ・・・」
息を切らしながら歩いていたのはリリス・キャラメル。
今現在の世界にいる残り少ない能力者の一人だ。
リリスは腹に大きな切り傷をつけられ、かないの出血量だ。
「もうあきらめろ。」
リリスの視線の上から黒い煙が降ってくる。
黒い煙は除々に人の形となり、煙の中から一人の男が現れた。
「だ、だれよ・・・・あなた・・・・。」
「お前と同じ能力者さ。」
「嘘ね・・・・。この世界の能力者は数少ない・・・。あなたの顔は見ないわ・・・・」
リリスが男に言うと、男は不気味に笑い表情を変える。
リリスは男の正体が分からず、恐怖で後ろに下がる。
「俺はオーデン・アンシュパッハ。未来からお前らを殺しに来た能力者だ。」
オーデンはそう言うと、腰に装着してる刀でリリスの首を切った。
ブシュ!!
「あ・・・・・」
バタリ!
リリスの首から血が噴水のように出てくる。
オーデンは刀を終うと、携帯を取り出して誰かに電話をかける。
『俺だ。こっちは片付いた。とにかくこの時代の能力者を消せ。子供だろうが女性だろうが関係ない。』
すべて殺せ_________
**********
翌日 東京 世田谷区
住宅街に建ってある赤い屋根の家の下・・・。
一人の青年がスーツを着て呼吸を整えていた。
「今日が初出勤だ・・・・・」
英雄、神宮優太の息子であるマモルは天井を見て自分を安心させる。
すると、部屋のドアが開きマモルの母、七海が入ってきた。
「大丈夫?」
「やばいかも・・・ははっ。」
七海はマモルを見ると優しく微笑む。
マモルは警察手帳を胸ポケットに入れると玄関に向かった。
七海もマモルを送るために玄関に向かう。
マモルは震えた手で靴をはく。
七海はマモルのあまりの緊張の仕方につい笑う。
「本当に大丈夫?」
「だ、大丈夫!!父さんのためにも、母さんのためにも頑張るよ!!行ってきます!!!」
マモルはそう言うと、元気に外へ駆けだした。
七海はマモルの後ろ姿を見送ると、ふすまに置いてある仏壇の前に来た。
仏壇には優太、雨水速、神崎榛名、新庄剛、黒崎隼人、岩野恭祐の写真が飾ってある。
「どうかあの子が失敗しませんように・・・」
七海はそう願うと、リビングに向かいテレビをつけた。
その時、七海はテレビを見た瞬間動きが止まった。
『昨夜、東京湾の某港でリリス・キャラメルさんが殺害されていることが判明しました。亡くなったリリスさんは現在、世界に残り少ない能力者の一人です。ライリー・ロックウェル合衆国大統領はこの事件を視察するために今日にも日本を訪れる模様です。』
七海はニュースを見て唖然とした。
リリスが死んだ・・・・。
リリスは七海の中学時代の担任、ジョン・シルファーの一番の友人だ。
そのため七海や優太ともかなり親しい能力者だ。
七海はニュースを見た瞬間、嫌な予感がし始めていた。
そしてその嫌な予感が的中することになるとは、七海は予想もしていなかった。