ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: SURVIVAL GAME オリキャラ募集!! ( No.10 )
日時: 2010/05/01 22:24
名前: いち ◆mBjthR0pMA (ID: PmZsycN0)

STAGE Ⅱ

「おーい! 77番の人いますかー???」

俺と真理奈の目の前でそんなことを大声で叫んでいる男がいた。

こんな状況じゃなかったら絶対に関わりあいになりたくないが、今は仕方が無い。

チームは、いわば運命共同体なのだから。

「すいません、俺たちが77番です」

俺はその男に話しかけた。

「あ、本当? よろしくねー!! 俺、辻健太! そっちは?」

「……遠野秋夜です」

「私、神木真理奈!! 辻君、よろしく〜!!」

真理奈は早くも辻と打ち解けているようだ。

…いや、仲が良いのはいいことなんだが……

「なあ、2人とも、もっと緊張感持ったら? 俺たち、これから生き残りをかけて戦わなくちゃいけないんだぞ?」

たまらず俺は注意した。

これからもずっとこんな調子では困るからな。

「え〜!! 大丈夫だって! 私運動は得意だし!」

「そうそう、あせらずゆっくり行こうよー」

……ダメだ、俺は最悪のチームに入っちまった。

俺が1人頭を抱えていると、

「あなたたち、そんな調子じゃ、すぐ時計奪われちゃいますよ」

いきなり声がした。

顔を上げると、そこには女がいた。

年は、12か13といったところだろう。

あまり感情を顔に出さなそうに見える。

何より特徴的なのは、竹刀をもっていることだ。

「えーと…君は?」

とりあえず代表して俺が聞いてみる。

「私の名前は、水宮依舞。60チームです。あなたたちは敵ですから、よろしくは言わないでおきます」

うちのチームのバカ2人とは違って精神年齢が高いようだ。

「そうか、忠告には感謝するよ、でも、君は俺の敵だ。ありがとうは、言わないでおくよ」

俺は半分対抗意識的に言い返した。

「…! なるほど、あなたはただのバカじゃないってことですね。次に会うのが楽しみです」

何とか、通用したようだ。

「おおー、秋夜カッコイイ!」

「うん、カッコイイ!」

……ツッコム気力すら起きない。

「もういいや、部屋の外に出よう」

「「りょうかーい」」

本当に、生き残りをかけてるって自覚あんのかな?

外に出ると、早速戦いが始まっていた。

「うおら、ガキ! 時計をよこしやがれ!」

「うっせー!! 俺はガキじゃねえ! そっちが時計をよこしやがれー!!」

片方は20歳前後、もう片方は高校生だろうか? 口調がどことなくガキっぽい。

20歳はアーミーナイフ、高校生は金属バットを持っている。

高校生がバットを振り回すが、20歳には当たらない。

逆に振り疲れたところを突き飛ばされてしまった。

「いてー!!」

「ふん、ガキ、運が無かったな、悪く思うなよ」

20歳はゆっくりと高校生に近づいていく。

が、その時—

「ま、ま、ま、待てっ!!」

高校生よりもさらに幼く見える男の子が、20歳の前に立ちはだかった。

「あーん? なんだテメエ?」

20歳が男の子をにらみつける。男の子はあわわわといった様子で震えている。

「俺は今からその生意気なクソガキをぶっ殺すんだよ、そこをどけ!!」

「い、い、い、嫌だ!!」

男の子はどけようとはしない。

武器は……死神が使うような鎌だ。でも、明らかに身長とつりあっていない。使えるのだろうか?

「そうかよ、じゃ、お前から先に死ねや!」

そう言って20歳はアーミーナイフを振り下ろ—

す前に、男の子が目にも止まらぬ速さで、鎌を振った。

「……え?」

20歳は自分の体を見る。特におかしいところは無い。

しかし、次の瞬間、後ろ向きにばったりと倒れてしまった。

ぴくりとも動かない。死んでいる?

だが、傷跡のようなものは残っていない。

男の子のほうも何が何だかって顔をしている。

「え…? 秋夜、あの人死んじゃったの?」

「分からない、でも、もしかして…」

俺はこんな話を聞いたことがある。

刃物を一瞬で振り下ろせば、切り傷を作らずに相手を切ることができる、というものだ。

信じられないが、あの、男の子はそれだけの速さで鎌を振り下ろしたのだ……

「悪い、助かった、裄」

「いいんだよ、大丈夫、雄人君?」

「ああ、大丈夫だ」

どうやら高校生は、雄人、男の子は裄という名前らしい。

どうやら、このゲーム、思ったより苦労しそうだ。

俺たちはその場から立ち去ろうとしたが…


「ぐああああ!!!」

「ぎゃあああああ!!」

突然2人の男が苦しみだした。

ひょっとして、今殺された男のチームのメンバー?

呆然と見守るうちに男たちは動かなくなった。

そうか、全員が3つ時計を持っていなければ生き残りは認められない。

つまり、1人でも死んだ時点で、このゲームは失格なんだ。

よって、残りのメンバーも何らかの方法で処刑した。

そういうことか。

俺は改めて、このゲームの真の恐ろしさを知った、そんな気がした。








     残り98チーム