ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME ( No.117 )
- 日時: 2010/05/16 21:10
- 名前: いち ◆GVslyoVS2Y (ID: PmZsycN0)
STAGE ⅩⅣ 「秋夜の過去」
俺は、洞窟の先の森を北に進む。
一体、鬼は何を考えているのだろう。
チームメイトを本来ならば敵である俺に迎えにやるほど、真理奈と辻に大事な用があるのだろうか。
いくらなんでも、人質にとるまではやらないとは思うが、鬼がその気になれば簡単なことだ。
俺は、頭を振って悪い考えを締め出す。
今はとにかく、ミーナと天上天下唯我独尊を見つけることだ。
えーと、今、目の前にいる、仮面をつけた女の人、鬼さんは、秋夜によると人間離れした強さを誇っているらしいです。
だから、おとなしく私と辻君は鬼さんの話を聞くことにしました。
「まず、君たちに秋夜と私の関係を説明しておこうと思う」
そう言って、彼女が始めたのは、次のような話だった。
秋夜と始めてあったのは、2年前の事になるかな。
彼の家は父親の借金で苦しい状況に合った。
父親はすぐに行方不明になり、母親は病弱だった。
しかし、まだ当時中学生だった秋夜は、ろくに働き口も見つからず、途方にくれていた。
そんなときだ。裏社会と呼ばれる闇の世界のある住人が、秋夜の頭脳に目をつけた。
秋夜はIQテストを受け、IQ測定不能というありえない結果を残していたから、もともと注目されていたんだよ。
主に、麻薬を売りさばくにはどうすればいいだとか、ライバルを出し抜くにはどうすればいいのかとか、そういうところを任されていた。
秋夜も、本当はやりたくなかったみたいだけど、状況が状況で、母親を見捨てることなんてできなかったんだろうな、秋夜は黙って協力し続けた。
そして、秋夜は私達を最初はつぶすために接触してきた。
この頃から私は、秋夜をどうにかして救ってやろうと考えていた。
そこで私達は秋夜が協力していた麻薬カルテルを破滅させ、秋夜を仲間に加えた。
せめて、私達のそばにいれば、何も危険は無いと思っていたからね。
だが、それは大きな間違いだった。
カルテルの破滅は、秋夜の裏切りのせいだと勘違いした生き残りが、秋夜の母親を殺してしまったんだ。
秋夜は何日も泣き叫び続け、怒りを私にぶちまけた。
—あんたさえ余計なまねをしなければ、母さんは死なずにすんだのに、あんたは、心まで鬼みたいなやつだ!
とね。
私は何もいえなかった。
ただ、せめてもの罪滅ぼしと、秋夜の銀行口座に、1億を入金した。
けど、金なんかで秋夜の怒りが収まるはずも無く、そのまま秋夜は裏社会から飛び出していった。
つまり、秋夜にとって私はまさに、鬼そのものなんだ。
で、ついさっきそこで再会したわけなんだよね…
なんというか、秋夜にそんな辛い過去があったなんて、驚きだ。
たぶん、辻君も同じことを考えているだろう。
でも、私は鬼さんを責める気にはなれなかった。
それを話しているとき、鬼さんは、仮面の奥で泣いているような気がしたから。
自分のせいで、秋夜のお母さんを奪ってしまったことを、すごく、後悔している。
だから、私は、何も言わなかった、いや、言えなかった……
俺は鬼の言っていた大きな木の下にきた。
だが、そこに2人の姿はなく、かわりに、鬼に当てたと思われる置手紙を見つけた。
『現在81チームと戦闘中。至急応援に来られたし』
あーあ……どうするよコレ。