ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME ( No.121 )
- 日時: 2010/05/17 15:19
- 名前: いち ◆GVslyoVS2Y (ID: PmZsycN0)
STAGE ⅩⅤ
雨が降ってきた。
俺は、消えた鬼の仲間、ミーナ・アラストルと天上天下唯我独尊を探している。
81チームと戦闘中のようだが、周りからはその気配が無い。
鬼を呼ぶかどうか迷ったが、並の人間ではあの2人には絶対に勝てないので、俺は1人で探すことにした。
ひょっとしたら、もう終わってるのかもな。
俺がそんなことを考えたときだった。
いきなり、雷が落ちてきた。
俺はとっさに身をかがめた。
少しして、機関銃を連射させる音が聞こえる。
俺は急いで雷が落ちたほうに向かった。
すると、そこには……
信じがたいことに、ミーナと天上天下唯我独尊と互角に戦う3人組がいた。
まさか、あの連中が81チーム…?
真ん中にいる女は、バカデカいハサミを持っている。
右いる男は、剣を持っている。
左の男は、何も持っていないが、腕を振って何かの指示を出しているみたいだ。
そうこうしているうちに、右の男がまた腕を振った。
すると、雷が、2人めがけて落ちてきた。
まさか、あの男が雷を操っているのか…!?
そして、その隙に、他の2人がミーナ達に向かって突っ込む。
反撃しようとすれば、雷が落ちてきて、動きを邪魔する。
つまり、ミーナたちは逃げ続け、ミーナの武器である機関銃を闇雲に撃つしか手が無い。
完璧な作戦だ。鬼に来て欲しいと置手紙を残したのもうなずける。
この状況を何とかできるのは、鬼しかいない。
俺は振り向いて走り出そうとしたが—
「あのさあ、君の存在ぐらいとっくにばれてるんだけど」
雷が目の前に落ちてきた。
「うわあっ!?」
俺は雷の勢いで吹き飛ばされた。
くそ、ばれてたのか!
そこでやっとミーナと天上天下唯我独尊も俺の存在に気付いたようだ。
「秋夜!?」
「お前も参加してたのか!?」
くそ、こうなったら、なるべく持ちこたえて、鬼が来るのを待つしかない…!!
「ミーナ!! 機関銃だ! 狙いはどうでもいい! とにかくやつらを動かせるな!!」
俺は走りながら言った。
「分った」
ミーナは天上天下唯我独尊と一緒に下がりながら機関銃を乱射する。
そうして、一旦81チームから逃げ切ることに成功する。
「ここまでくれば安全だろ」
俺がそういうと、2人も止まった。
「秋夜、何で私達のところに来たんだ?」
ミーナが止まるなり早速質問してくる。
「あんたのリーダーに頼まれてね。まったく、ひどい目にあった」
「そうか……」
答えたのは、ミーナではなく天上天下唯我独尊だ。
「何なんだ、あいつら?」
今度は俺が質問する。
「分らない。いきなり襲われたから。師匠は、今どこにいるの?」
ミーナがそう言った。
「俺の仲間と一緒にいる。だが、呼びに行くには、81チームをかわしていくしかない」
「……そうか」
現時点で81チームをかわして通るのはほぼ不可能だ。
「それにしても、お前達でも倒すのに苦労するやつらがいるとはね」
俺はぼそりといった。
「…確かに。正直、秋夜が来なければ、今頃死んでいたかもな」
ミーナがつぶやく。声は静かだが、その心の中は悔しさであふれかえっているだろう。
「まったくだ。秋夜、ありがとうな」
天上天下唯我独尊が言う。
「俺はあんたちを助けたかったわけじゃない。流れでそうなっただけだ」
俺はそうはき捨てた。
しばらく、無言の時間が過ぎた。
静寂を破ったのは、ミーナだった。
「で、どうやって師匠と合流する?」
「鬼が来るのを待つか、なるべく派手に81チームと戦闘して、鬼に気付いてもらうか。どちらにしても、鬼頼みだがな」
俺は小さく言った。
「なら、来てもらおう。81チームと派手に戦うんだ」
ミーナがすぐに言った。
「だが、危険だぞ? いつまで持つか分らないし」
天上天下唯我独尊がすかさず反論する。
俺は議論を始めた2人を黙って見つめる。
意見を聞き、能力と確率、俺自身の意見も混ぜながら…方法を考える。
「おい、2人とも。81チームの連中の特徴を教えろ」
きょとんとした顔をしているが、そんなのに構ってる暇は無い。
「—俺たち3人で、81チームに勝つ」
おかしいな。秋夜たちが戻ってこない。
鬼さんも同じことを考えてるみたい。さっきからしきりに森の方を見てる。
辻君も落ち着かないみたい。
「遅い。戻ってくるのが、遅すぎる」
鬼さんが、ついに我慢できなくなった。
「ちょっと見てくる。2人はここに—
「ダメです!!」
気付けば私は叫んでいた。
「秋夜は私達の仲間です! 行くなら私たちも連れてってください!!」
「俺も真理奈ちゃんと同じ意見だ。俺たちも連れてってくれ」
鬼さんはしばらく考え込んだ後、言った。
「瞬間移動を使う。2人とも、私の手を握って」
俺たちは、再び81チームの前に姿を現す。
「君たち、また来たのかい? しつこいな」
事前にミーナに名前を聞いた。
雷を操るこの男は雨津鷺丸。
デカバサミは月影京。
剣を持つのは、仁杜英智だ。
雨津は腕を振り、雷を落とす。
俺たちはかわして、バラバラに散った。
ミーナが機関銃を乱射し、81チームもバラバラにする。
「なるほどね、個々の戦闘に持ち込む気か」
仁杜が静かに言った。
「—だが、それでも、僕達には勝てないよ」
その言葉と共に、俺たちと、81チームは、同時に走り出す。
この時点で、俺たちの勝ちは決まっているかに見えた。
だが、俺は81チームの真の恐ろしさに気が付いてはいなかった。