ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME ( No.146 )
- 日時: 2010/05/25 22:13
- 名前: いち ◆GVslyoVS2Y (ID: PmZsycN0)
STAGE ⅩⅨ
「くくく、鬼さん、いくらあなたでも3人相手じゃ勝てないですよ?」
「どうかな、3人で勝てるのかい?」
「ほう……大層な自信だ。では……行きますよ!!」
そういうと同時に、威牙はブーメランを投げてきた。
「はっ!!」
私は双刀ではじき返す。
近くにあった木にあたりながら、ブーメランは戻っていく。
「くく……その木、よく見てみてください」
威牙が不適に笑う。
「!!」
木は、まるで毒に侵されたかのように腐っていた。
「なるほど……そのブーメラン、腐食性の毒が仕込んであるわけか」
「ご名答。では、次行きます」
そういうと、鼓動と名乗った女が、つけていた手袋を外した。
「あれは……」
鼓動の手は、明らかに、普通の人間のそれではなかった。
「魔王の右手、死神の左手か……」
それに、目の色も違う。
あれは、噂に聞く5秒先まで見通せるという、未来の目だろうな。
「これでも……喰らえ!!」
両手から、負のエネルギーが凝縮されたエネルギー砲が発射された。
私はそれもはじき返し、威牙のところに送った。
「これは返すよ」
だが……
「受け取りましょう?」
威牙は盾で、そのエネルギー砲を吸い込んだ。
「では………お返しします!!」
すると、盾からビームが出てきた。
「!?」
私はとっさに横っ飛びをしてかわした。
「もうお気づきでしょうが、俺の盾は、攻撃を吸収して、それをビームにして送り返すことが出来ます」
やはりそうか。ということは、レアなのか…?
「ドレインシールドっていう、レアですよ」
威牙が笑いながらいった。
「で? そっちの子は、何を隠し持っているのかな?」
「はい、私は、応援係です!!」
やたらテンションが高い碑之という女の子は、どうやら武器に恵まれないらしいね……
背中にギターのようなものを背負っているから、何かあるのかと思ったんだけどね……
まあ、しゃべる山猫がいるし、あれはあれでレアでしょ?
「まあいいや、今度はこっちから、いくよ!!」
私は、即勝負を決めるべく、突っ込んだ。
そのまま懐に飛び込み、気絶させるつもりだったのだが…
2人は、私が動いたと同時に、左右に別れていた。
鼓動の未来の目による先読み……かな?
「だからいったでしょう? あなたでは俺たちに勝てません」
「あなたの命……受け取るわ!!」
鼓動が突っ込んでくる。
私は双刀で迎え撃とうとするが、やはり、先読みされて、まんまとふところに飛び込まれてしまった。
そして、魔王の右手をかざされる—
「ぐ、きゃああああああ!?」
全身を、耐え難い苦痛が襲う。
まるで、命を引き剥がされるかのようだ。
「はあ………はあ……はあ…」
私は膝をついた。
「へえ? まだ生きてるんだ。さすがは鬼だね」
鼓動があざ笑うようにいう。
「でも、2回目は耐えられるのかしら?」
そういってまた右手をかざそうとするが、これは飛びのくことでかわした。
「ふふふふふ……私に、膝をつかせたことは、ほめてあげるよ…でも、それまでだ」
「……何?」
初めて威牙が険しい表情になった。
自分の優位を確信していたからだろう。
「もう一度、分かりやすく言う。やはり、君たちでは私に勝てない」
「ふざけんな、ハッタリもいい加減に—
「ハッタリ?」
一瞬で、私は威牙の目の前に立つ。
「な—
慌てて逃げようとしたが、その前に私の回し蹴りがみぞおちに入った。
「ぐほあっ!!」
威牙は強烈に木に叩きつけられて、気を失った。
「そんな、動きが読めない…!?」
鼓動が、一歩離れる。
「私は鬼、私の前では、いかなる常識も通用しない」
それが、鼓動の聞く最後の言葉になった。
双刀による峰打ちで、鼓動もバッタリと倒れた。
「碑之さん、この2人を連れて、早く消えるんだ」
碑之はガクガク震えながら、2人を抱えて逃げていった。
さてと………これからどうするかな…?
「くそ、まるで分からない!」
俺は、地面に寝転がって、大の字になった。
「しょうがない男だ。では、少しだけヒントをやる」
滅華がそういうと、俺の目の前にスクリーンのようなものが出てきた。
そこに写っていたのは、半端じゃない大きさのロボットと戦う辻と真理奈、天上天下唯我独尊、ミーナの姿だった。
辻のトリックスターでロボットの動きを封じ込め、ミーナと天上天下唯我独尊と真理奈が攻撃を仕掛ける。
だが、ほとんど効いていないようだ。ロボットには傷1つついていない。
どうみても、劣勢としか言いようが無かった。
けど、それならなんで逃げ出さないのか?
ミーナと天上天下唯我独尊がいれば、逃げるだけならなんとでもできるはずなのに……
「何でだ、訳がわからない…」
「ふん、それが貴様の甘さよ」
「どういうことだ……?」
「分からないのか。では、この者どもの心を聞かせよう」
すると、頭の中に急に言葉が聞こえた。
(秋夜が意識を戻すまで、戦うんだ…!!)
(秋夜はきっと戻ってくる、それまで……!!)
(あいつなら、きっと何か勝てる方法を見つけてくれる! だから今は耐えるんだ…!!)
(師匠も、秋夜も、がんばってるはず。私が退くわけには行かない……!!)
「………」
まさか、みんながそこまで俺の為に…?
「気付いたであろう。貴様には、救うべき仲間がいる。あの者どもの、信頼に応える義務があるのだ」
みんなの、信頼を—
俺は今まで、そんなことに気付かなかったのか。
俺は、今まで自分の為に戦っていた。
でも、みんなは俺の為に……
「滅華」
「おう」
俺は、深呼吸を1つして、滅華に言った。
「俺は戦う。俺を信じる人が、そこで戦う限り」
「合格だ。さあ、今こそわが力を解き放て—!!」