ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: SURVIVAL GAME  ( No.153 )
日時: 2010/05/29 16:06
名前: いち ◆GVslyoVS2Y (ID: PmZsycN0)

STAGE ⅩⅩⅠ

「貴様っ!! この俺に、後藤心に1人で勝てると思ってるのか!?」

「ごちゃごちゃうるさいよ。さっさと掛かっててくれない?」

俺がそう挑発した瞬間、ロボットの胸の部分が開いて、ミサイルが発射された。

「…!」

俺は、迫りくるミサイルの、その全ての動きを捉えた。

踊るようにステップして、その全てをかわす。

「! バカな!?」

ロボットは続けざまにありとあらゆる武器を発射してきた。

「無駄だって」

俺はあるものはかわし、あるものは剣で捌いた。

今なら、滅華の真の力が分かる。

「くっそ…これならどうだ!?」

ロボットは、作戦を変えて、鬼たちにミサイルを発射した。

「しまった!?」

鬼もこの攻撃は予測してなかったらしい。

だが、問題ない。

次の瞬間、ミサイルは全て空中で爆発した。

「どういうことだ!?」

後藤が絶叫する。

これが、滅華の新しい力のうちの1つ、真空波だ。

超高速で振動する空気の刃を発射させる。

「おのれえ……これならどうだ!!」

すると、先程とは少し色が違うミサイルが発射された。

「秋夜! 多弾頭ミサイルだ!!」

こういう武器について詳しい天上天下唯我独尊が叫ぶ。

その言葉通り、ミサイルは途中で分裂した。

「ふはははは!! いくら貴様でもこの数は捌けないはずだ!!」

ところがそうじゃないんだな。

「ミサイルは……ざっと100ってとこか」

言い終わると同時に、俺は動き出した。

誰の目にも留まらない高速で。

「12…13…14」

1秒で、14個叩き落した。

8秒に達する頃には、全てのミサイルは、灰と化した。

後藤は、もはや声も出ないようだ。

「こ、こ、こ、こうなったら……奥の手だ!!」

そういうと、背中の部分から、盾と剣が出てきた。

「肉弾戦でケリをつけてやる!」

剣を振り下ろす。

俺は、すかさず滅華で受け止める。

「受け止めた…だとお!?」

ロボットは一旦飛びのいた。

「いい加減分かった? あんたの攻撃は俺には効かないの」

「だ、黙れ…!!」

なおもロボットは剣を振り下ろす。

「分かったから、少し黙っててくれ!!」

俺は思いっきり滅華をぶつけた。

すると、剣は真っ二つになった。

「そ、そんな…」

後藤の声が震えている。

「さて、そろそろ決めるよ、滅華」

(おうさ。派手に行くが良い)

俺は、滅華と心を合わせて叫んだ。

『刃桜』









瞬間、俺の周りの空間が、桜で満たされる…

否、桜の花びらに見せかけた刃で満たされる。

「き、貴様! 何のつもりで…」

後藤は最後までわめき続ける。

「だから、ごちゃごちゃ言うなって」

無数の刃桜が螺旋を描き、巨大な槍となってロボットに向かって突き進む。

「な、なんだそれは、なんだそれはああああ!!」

後藤はまたも絶叫している。

「あのさ、滅華、この技なんていうの?」

(我が知るか。貴様が考えたとおりに動いている。貴様が名をつけろ)

「そうか…」

そうだな。刃桜は乱れ咲き、舞うように螺旋を描く、ってことは……決めた。











「貫け—螺旋乱舞!!」

(ほう、なかなかの感性だ)

「う、うわあああああああああああああ!!」

槍に貫かれたロボットは、大爆発を起こした。

おそらく、後藤も死んだだろう…

爆発した辺りから、何かが大量に落ちている。

おそらく、時計だろう。

俺は、みんなの時計を回収するために、静かに歩き出す。










「秋夜〜っ!!」

「うわっと!?」

真理奈が抱きついてきた。

その後、他の仲間達にももみくちゃにされる。

「このやろ、このやろ、待たせやがって〜!!」

「何だよあのカッコイイ技はよ!」

しばらくは、笑いが止まらなかった。

俺のを含め、全員分の時計を回収した俺たちには、後はもう何も仕事が無い。

やっと、このゲームに勝ったんだ。

3つ巻かれた時計を見て、俺はそう思っていた。



























だが、俺は気付かなかった。これが始まりに過ぎないということに…