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Re: SURVIVAL GAME 第2ステージ開幕 ( No.175 )
日時: 2010/06/19 15:44
名前: いち ◆GVslyoVS2Y (ID: PmZsycN0)

STAGE Ⅰ  「開戦」

いまだに、建物の外へ出ようという人間はいない。

誰もが、互いをけん制するように視線を交し合っている。

部屋の隅に移動し、誰にも会話を聞かれないように俺、辻、真理奈、鬼、ミーナ、天上天下唯我独尊は話を始めた。

「………どうする?」

辻が問いかける。

「一旦様子を見たほうがいいんじゃないか? 必ず相手を倒さなきゃいけなかった第1ステージとは違って、第2ステージは30人に減るまで、つまり俺たちが誰かを倒さなくても人数が減ればそれで問題ないわけだし……襲われたら相手をする、でいいと思うけど?」

ミーナが周りを見渡しながら言う。

それに、俺はこう答えた。

「いや、それは止めたほうがいい。相手が襲ってくるのを待つってことは、俺たちは必ず後手に回ることになるからな。それだったらまだ俺たちから積極的に襲っていったほうがいい」

「じゃあ、どうする?」

「俺たちに必要なのは、相手を知ること。そして相手に俺たちを知られないことだ」

「どうして?」

真理奈が首をかしげながら聞いてきた。

「相手のことをわかっていれば、不意打ちを受けたときも、こっちから襲うときもかなり楽になる。ここまで生き残ってる時点でそうとう強い事は明らか。全員がレアウエポンを持ってると考えたほうがいい」

「……!! なるほど、秋夜、君は私たちは一旦別れたほうがいい、と言いたいんだね?」

鬼が仮面の下の目を光らせながらそういった。

「その通り、俺たちに必要なのは何よりも相手の情報だ。だから、俺たちは一旦バラバラになる。出来れば1人ずつになれればいいけど、残っている相手のことも考えれば、せめて真理奈だけは鬼とかと組んだほうがいい」

「え、いいよ、私なら1人でも平気だよ!」

真理奈が強い口調で言った。

それをすかさず制したのはミーナだった。

「ダメ。それではあなたが死んでしまう可能性が大きい。あなたが死んだら元も子もないもの。私と組んで、いいでしょ、秋夜?」

真理奈は悔しそうにしていたが、自分の実力を自覚しているのか、それ以上は何も言ってこなかった。

「ああ、そうしてくれ」

そして、俺たちは5手に分かれて行動する事になった。

この建物に1週間後、午後4時に。

それだけ約束して、俺以外のメンバーは次々と出ていった。

なお、ここから出るときは時間の間隔をある程度あけてから、と指示した。

仲良く一緒に出て行くとこいつらは仲間だと言っているようなものだからだ。

最後に鬼たちが出て行くと、それにつられるかのようにどんどん外に出て行った。

見る限り、第1ステージのときと同じチームで行く連中が多いようだ。

俺たちがかつて戦った黒瀬隼たちや、永世銀河たち、さらには仁杜英智たちも同じメンバーで建物を出た。

その後もしばらく建物から出て行く連中を眺めていると、突然後ろから肩を叩かれた。

滅華を思わず構える。

「もぉ、私だよ〜」

「バカな……なんでお前が!?」

そこにいたのは、石切舞だった。

じゃあ、さっき黒瀬たちと出て行ったのは……?

「えへへ、何か隼君たち新しいメンバー見つけちゃったみたい。私捨てられちゃったんだあ♪きっと私がいっぱい切り裂いちゃったからかなあ? 最後の方は大分派手にやっちゃったからなあ……」

「……それで、俺に何の用だ?」

石切は不可解な笑みを浮かべながら、顔をほとんどくっつかんばかりのところまで持ってくる。

「私、1人で寂しいんだあ♪ 一緒に組んでよ?」

「悪いが他をあたってくれ」

俺は即答えた。正直もう1秒だって一緒にいたくなかった。

「どうして? 私、あのときより強くなってるよ? レアウエポンって言うのみつけたんだあ!!」

「………どんな?」

レアウエポンを持っているなら、その情報を引き出さなければ……

「私と組んでくれるまで教えな〜い! それに、私コレでも結構相手の情報とかしてるんだけどな〜?」

俺は迷った。この場での不快感を拭い去るのを取るか、貴重な情報を取るか…

迷った結果、後者が勝った。

「分かった、お前と組もう」

「あはは! そうこなくっちゃ★」













だが俺は、まだわかっていなかった。石切舞という女の恐ろしさが…