ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME 第2ステージ開幕 ( No.183 )
- 日時: 2010/06/21 20:50
- 名前: いち ◆GVslyoVS2Y (ID: PmZsycN0)
STAGE Ⅱ
建物の外に出ようとすると、扉のところに立っていたサングラスにスーツ姿の男に呼び止められた。
「失礼、時計を交換してください」
男はそういうと勝手に俺の腕時計を外して、代わりに新しい腕時計をつけた。
「では、幸運を」
石切も同様に腕時計を交換され、その後とりあえず俺たちは比較的敵に見つかりにくい森の中に入った。
「石切、とりあえずここで休憩だ」
俺は言いながらバッグを下ろし、食料円盤を取り出す。
石切も食料円盤を取り出した。何を食べるのかと思えば、
「大盛りパフェ」
だった。
「うん? 秋夜君、どうかした?」
「いや、別に……」
黒瀬たちが石切と分かれた理由がなんとなく分かってきた……
俺はとりあえず簡単におにぎりとお茶ですませた。
食べ終わり、何気なく時計を見ると、今日の日付、現在時刻、そして—
今生き残ってる人数。
まだ、1人も死んでいない。画面の左上に、小さく99と表示されている。
「ふふふ、ごちそうさま」
石切も大盛りパフェを食し、お互い一息ついたところで、切り出したのは俺だった。
「石切。まずはお前の能力、それから知っている限りの敵の情報を教えてくれ。俺も知っているだけは教える」
すると石切は不気味に笑いながら
「うーんとね、他の人はいいから、秋夜君のその日本刀について教えて欲しいな? そしたら私の情報をあげるよ?」
俺は一瞬迷った後、滅華の能力を余すことなく全部しゃべった。
「へえ? 秋夜君強いんだねえ? 道理で私じゃ勝てないはずだ♪」
どこまでも不気味な女だ。やはり石切は好きになれそうに無い。
「じゃあ、お前の情報を教えてくれ」
「えへへ、いいよ〜」
石切の情報は、そのほとんどが俺が第1ステージで戦った連中のものだったが、最後の1人だけ興味を引いた。
「あとは、とっておきのが1つ♪ 実は第2ステージって、100人目がいるらしーよ?」
「………100人目?」
「そ。私たち参加者以外に1人だけ、恐ろしく強い人が参加してるんだってさ」
「……そうか」
100人目、まったく謎の人物であるため、細心の注意を払う必要があるだろう。
「うふふ、じゃあこれで事務的用事は終わりだね? じゃあ、今度は私個人の話を聞いて?」
こいつの個人的な話など聞きたくも無かったが、一応まだチームメイトである以上、聞いておこう。
「なんだ?」
「私ねえ、秋夜君が、好き♪」
石切はそういうなり、俺に抱きついてきた。
「うわっ!? 離れろ!!」
俺は不気味というより恥ずかしくて必死に石切を押しのけた。
「もう、さては秋夜君まだ恋愛したことないな?」
「お前との恋愛だけはごめんだよ!!」
俺としたことが、全力でツッコんでしまった。
「えへへ、かわいいなぁ♪」
えーと、こういうのを何て言うんだっけか。
ヤ、ヤンデレ……??
「俺はヤンデレは趣味じゃないんだ」
俺がキッパリと言い放つと、石切は
「じゃあ私が秋夜君をヤンデレ好きにしてあげるねっ?」
また抱きつかんと迫ってくる。
「うぎゃああああああああああああああああ!!!」
森の中に、俺の切ない叫びが響き渡る。
余談だが、この絶叫で何人かは最初の犠牲者が出たかと思ったらしい……
空はすっかり暗くなり、午後8時を指した。
すると、時計からけたたましくアラームがなり始めた。
「な、なんだ?」
慌ててそこらへんのボタンを押してアラームを止めると、画面にメッセージが表示された。
『モンスター開放時間』
「…………は?」
モンスター? 一体何の話なんだ?
そしてその答えはすぐさま明らかになった。
「グガオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
さっきの俺の絶叫の数十倍はあろうかという超大音量が響き渡る。
「うわっ……耳が!」
思わず耳をふさいで膝を突いてしまう。
すぐそばで石切が立ち尽くしていた。
「あ、秋夜君………?」
「?」
石切は、震える手で、俺の後ろの方を指差した。
振り向くと……
「何ーーーーーーーーーーーーーーー!?」
そこにいたのは、まさしく恐竜。
しかも、図鑑で何回か見たことのあるそいつは、ティラノサウルスだった。