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- Re: SURVIVAL GAME 第2ステージ開幕 ( No.189 )
- 日時: 2010/06/23 23:41
- 名前: いち ◆GVslyoVS2Y (ID: PmZsycN0)
SUTAGE Ⅲ 「暗殺者、石切舞」
「何だコレ………ティラノかよ…!!」
俺は恐怖を通り越して、あきれかえった。
まさかこんなものまで用意しているとは……
「グガオオオオオオオオオオオオオ!!!」
再びティラノが咆哮する。
「石切、そういえばまだお前の能力について聞いてなかったな? 教えてくれ!」
石切はティラノの圧倒的なオーラに最初は動けなったが、さあすがに第1ステージを突破しただけあって、すぐに冷静さを取り戻した。
「私の能力は、簡単に言えば暗殺者ね。一切の気配や足音を消して動ける。それから単純な運動能力の上昇……でも、一番はコレかな?」
そういって石切は細長い剣をどこからか出してきた。
「それは………レイピアか?」
「そう、確か箱には『アサシンレイピア』って書いてあったよ」
暗殺者の細剣、か……
図らずも、石切の雰囲気にピッタリだ。
ティラノは俺たちをじっと見つめている。
何かを判断しているのだろうか?
「石切。お前は最初は隠れてろ。俺がヤツの気を引く。その間に………」
「……分かった」
俺は石切に指示を出すと、滅華を抜いて構えた。
ティラノが姿勢を低くして、戦闘体勢のようなものを取る。
先に仕掛けたのは、ティラノのほうだった。
「グガアアアアアア!!」
けたたましい咆哮をあげて突っ込んでくる。
俺は空中に高く飛んでこれを回避する。
(滅華………いくぜ!)
(おう)
「刃桜!」
空中に無数の桜が舞う。
しかしティラノは俺が予想もしなかった行動を取った。
なんと、空中に炎弾を放ってきたのだ。
「んな—
俺は刃桜で盾を作って、なんとかはじき返した。
「こいつ……ロボットか!」
もしそうなら、さっきの作戦は……
(いや、まだだ)
木の陰に隠れる石切を手で制しつつ、俺は新たな作戦を立て直す。
「さて……どうするかな…?」
俺は地面に降りてティラノを見つつ、考える。
(待てよ……ロボットなら、そうだ!!)
俺は刃桜を少しずつに分けて、ティラノの各部分に飛ばした。
しっぽは、はじかれた。足と、手と、頭は炎弾ではじかれた。
そして、首は……
炎弾で打ち落としてもいけないこともなかったが、ティラノは体を倒してこれを避けた。
「………!!」
俺は石切にサインを送る。
GOサインを。
石切は、音もなくはるか空中に飛び立った。
空中にいる石切に、さらにサインを送る。
首をトントンと叩く。
石切はうなずくと、空中で一気に加速した。
ティラノまでの距離、わずかに5メートル。
「グガオ!?」
気付いたときには、ティラノの首は一文字に切り裂かれていた。
そのままティラノはゆっくりと倒れ、2度と起き上がる事はなかった。
「あれ? 終わった?」
「ああ」
とりあえずは、ティラノは無事討伐できたようだ。
「ところでさあ、何で首にそのまま行けってサインしたの?」
もともと俺が最初に立てていた作戦は、ティラノが本物だったとして、その首、もっと言えば喉を狙うというものだった。
どんな生物でも、首を切り裂かれて生きていられるものはいないからだ。
ところが、あのティラノがロボットであったため、俺は改めて作戦を練り直した。
結果、考え付いたのは、ロボットの制御機関を叩くということだった。
ロボットもまた、的確な弱点を突けば最小限の攻撃で倒せる。
ただ、その制御機関がどこにあるか分からなかったから、刃桜を飛ばしたわけだ。
結果、首だけ不自然なほどに必死にかわしていたので、首に制御機関があると踏んだわけだ。
以上を石切に説明すると、石切は分かったようなわからないような顔をして
「ま、秋夜君が天才だってことだよね〜♪」
とだけ言った。
まあ、何とか第1の試練はクリアーでき……
ウーウーウーウー!!
また時計から音が鳴った。
見ると、画面には
『モンスター撃破』
と書かれていた。
なんだこれだけか、そう思ったとき—
『うわああああああ!! 助けてくれええええ!!』
ティラノの方から、突然叫び声が聞えた。
「人が……運転していた!?」
『くそおおおお!! 何で、何でコックピットから出れないんだよ!! あ、あ、爆発する!!』
まさか……
俺の中で、最悪なケースがそこで起こっていた。
『そんな……嫌だ! 俺は死にたくない!! うわあ、ああああ……助けてくれええええええええ!!!』
言い終わると同時に、爆発した。
『ギャアア…
声が不自然に切れ、後には何も残らなかった。
俺と石切はその場で立ち尽くすことしか出来なかった…
そして、時計がピコーンと音を立てて、生き残りの数が、1人減ったことを示したことには、しばらく気付かなかった……
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