ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME 第2ステージ開幕 ( No.192 )
- 日時: 2010/06/26 20:41
- 名前: いち ◆GVslyoVS2Y (ID: PmZsycN0)
STAGE Ⅳ 「マッドサイエンティスト」
「……結局、中の人も参加者だったわけね」
石切が、ため息をつきながら言った。
「……ああ、多分レアウエポンを持ってなかったんだな。偶然生き残ったのか、同じチームに化け物がいたのか……どちらにせよ、また一人、この島から命が消えていったわけだ」
しょうがないことだということは分かっていても、やはり自分の手で人を殺すのは気分が悪い。
「でも、秋夜君のおかげで、あの化け物を止められたのも事実。もし秋夜君があれを止めてなかったら、もっと多くの人が今頃死んでたかもしれないよ?? あなたの大切な仲間達だって……」
「あいつらは負けないさ」
俺は石切の励ましの言葉を打ち消すように言った。
どんな言い訳を並べても、俺は人殺しだ。その事実に変わりは無い。
もっとも、そんなことでこのゲームから降りる気はないが。
「行こう。もうじきこっちにも人が来るはずだ」
「……うん」
俺と石切は、暗い森の中を歩き始める。
暗い森の中を、私は歩き出す。
近くに、人の気配がする。
足音を立てないように、進んでいくと、周りをきょろきょろと見回しながら歩く女の姿があった。
手には、レアウエポンと思われる長い杖がある。
私は右腕についているウエポンサーチャーを起動させる。
(NO.13……魔法効果型レアウエポン『ウィッチステッキ』 所持者のイメージだけで様々な現象を引き起こせる魔法の杖……か)
私はゆっくりと女に向かって歩き出した。
3歩もしないうちに「誰!?」と鋭い声が返ってきた。
そうとう怯えているな。
私は足を止めずに双刀を抜きながら女に近づく。
「いや、来ないで! それ以上動いたら攻撃するわよ!?」
「ご自由に」
次の瞬間、巨大な火の玉がこっちに向かって発射された。
こんなものか。
私は火の玉を左の剣ではじいた。
女は驚いた顔をしている。
そして私は右の剣で—
女を切り裂いた。
「私に名前は無いよ。もし呼びたかったら—
刹那、と呼んでくれ」
それから、およそ24時間近く休んでは歩きの繰り返しをして、森のかなり深くまでやってきた。
時刻は、午後7時59分。
俺は時計を確認する。
あの後、人数は更に1人減り、残り97人になった。
昨日と同じなら、あと30秒で次のモンスターが来るはずだ……
10……9……
心の中でカウントする。
3……2……1……0
時計がまたも鳴る。画面にはモンスター開放時間の表示。
ドスン、ドスン、ドスン……
「地面が……揺れている?」
何か、巨大な生物か?
そう思ったとき—
木の陰から、ぬっと大きな何かが出てきた。
大きさは、昨日のティラノの5倍はあるだろう。
1つ目の巨人、サイクロプスだった。
「今度は伝説の化け物かよ……」
滅華を構える。
だが—
サイクロプスが1歩前に出たとき、突然サイクロプスが火柱に変わった。
「……うわっ!?」
俺と石切は吹き飛ばされる。
飛ばされながら考えた。
(爆弾……か!?)
何とか受身を取ることに成功する。
「何なの? 一体……」
石切が頭を抑えながら立ち上がる。
「ふひゃひゃひゃひゃひゃ、コレは大きな獲物がかかってくれたねえ?」
後ろから、突然声がした。
「……誰だお前は!?」
「俺か? 俺は奇誤黛聖。お前達を地獄に送る人間の名前さ」
奇誤と名乗る男は、不気味に笑いながら言った。
武器などは何一つ持っているようには見えない。
「……さっきの爆弾は、お前の仕業か?」
「うひゃひゃひゃひゃ。そうだ。ついでに教えてやろう。この辺り一体は、俺の仕掛けた特性地雷で埋め尽くされている。どこに仕掛けてあるのか知っているのは俺だけだ」
「………何!?」
奇誤はなおも不気味に笑いながら言う。
「ようこそ、『爆撃の園』へ」
残り96人