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Re: SURVIVAL GAME 第2ステージ開幕 ( No.197 )
日時: 2010/07/23 00:01
名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)

STAGE Ⅴ 「爆撃連鎖」

「ふひゃひゃひゃひゃひゃ、お前達はもうここから逃げられない。せいぜい足掻いて死んでくれ! ふひゃひゃひゃ!!」

奇誤と名乗る男は、狂ったような笑い声を上げる。

頭にマイクをつけ、薄汚れた白衣をまとい、目を狂気に光らせる姿は、まさにマッドサイエンティストそのものだ。

そして、この不気味なほどの余裕。

よほど、奇誤がいうところの『特製地雷』に自信があるのだろう。

確かに、さっきの爆発を見る限りは恐ろしい威力を誇っているようだ。

しかもそれが森中に張り巡らされているとあっては、俺たちは一歩も動けない。

だが、それは動かなければ爆発を喰らうことは無いということも意味する。

だから、ここでじっくり考えれば—

「ここでじっくり考えれば大丈夫、とでも考えたか?」

「……!!」

一体何が言いたいんだ……!?

「1ついいことを教えてやろう。俺の特製地雷は踏んでからの作動時間がばらばらだ。すぐに爆発するときもあれば、そうでない時もある、ということだな…」

「……何!?」

まさか……

奇誤が時計にちらりと視線をやった瞬間—

「石切! 逃げるぞ!!」

言うと同時に石切の手をつかみ、可能な限り遠くへ跳ぶ。

そして俺が地面から離れた直後、爆発が起きた…!!


ズガアアアアアアアアアアアアアアアアン…!!!!



「うわあっ!」 

「きゃあっ!?」

俺たちは吹き飛ばされ、地面を転がった。

「くっ……」

立ち上がると、奇誤が悠々と歩いてくる。

「危なかったな…ふひゃひゃ、ところで、そんなに地面を転がって、大丈夫なのか?」

ニヤニヤしながら奇誤が言う。

「…! 石切、走れ!」

言いながら動き出す。

直後、またも爆発が起きる。

「くそ……」

次々と、後ろで爆発が起こる。

そのたびに、足を取られそうになるが、必死に転ばないように走った。

何か、逆転する方法は無いのか…!?

後ろを振り向くと、奇誤の姿が目に入る。

なぜか、俺たちのあとをつけているようにも見える…

どうして? なぜ奇誤は俺たちの後をついてくる?

分からない。考えがまとまらない。

「ふひゃひゃひゃひゃ!! 走れ走れ! 体力の限りなああああああああ!! ふあひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!!!」

奇誤の狂ったような笑い声がどんどん大きくなっていく。

俺はまた後ろを振り返り、奇誤がいまだについてくることを確認する。

「……ん?」

俺は、あることに気付いた。

爆発が起きる少し前に、奇誤がマイクに向かって何かを話している……

なんなんだ? 爆発は奇誤のタイミングで起こせるのか…?

だから、奇誤は俺たちのあとをつけて…?

いや、それじゃ森中に地雷を仕掛ける意味がなくなる……

「待てよ……」

俺は、ここに来てやっと何かがひらめいた。

「石切、どこでもいい、奇誤の視界から外れたところへ行くんだ!」

「え? でも……」

「いいから、俺を信じてくれ」

「……分かった」

石切は、すぐに左に向きを変えて走り出す。

俺もすぐさま方向転換する。

「……くそ!」

奇誤が急にあせりだした。

間違いない。俺は確信した。

「石切! まっすぐ走るな! とにかく奇誤に視界を定めさせるな!!」

「うん!!」

それから、俺たちは森の地形を生かしてジグザグに走り、奇誤を巻くことに成功する。

その間、地雷はすべて的外れなところで爆発した。




「はあ…はあ…なんとか一安心かな?」

「ああ、よくがんばった」

俺たちは木にもたれかかって休憩する。

「秋夜君、何か気付いたんでしょ?」

「ああ……結局、爆撃の園なんて存在しなかったんだよ。全部ヤツのハッタリだ」

「……どういうこと?」

「後で説明するよ。今は行かないと…」

「行くって、どこに?」

俺は少し考えた後、答えた。










「ちょっくら逆転してくる」

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