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- Re: SURVIVAL GAME 第2ステージ開幕 ( No.205 )
- 日時: 2010/07/24 10:44
- 名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)
STAGE Ⅵ 「真価」
俺は木の上を移動しながら、奇誤を探す。
探し始めてから3分もしないうちに苛立った様子で辺りを見回す奇誤を見つけた。
俺は奇誤の直ぐ横の木の上に行くと、奇誤に声をかける。
「よう。爆弾魔」
「……貴様!!」
奇誤は威勢よく振り返ったが、俺が木の上に立っているのを見て、明らかにあせった顔になった。
「どうした? 早く爆破させてみろよ!」
「ぐっ……!」
奇誤は何も行動を起こさない、いや、起こせない。
「できないよな、そんなこと。お前の力じゃ…」
「くそ……!!」
奇誤はさらに焦ったような顔をする。
だが、俺の反撃はまだ終わらない。
「それからもう1つ。爆撃の園なんて存在しないんだろ?」
「……なんだと!?」
「わざとらしいな。もうやめにしようぜ…お前は、森中に地雷を仕掛けるなんて事はしてないといったんだ」
「ば、バカなことを言うんじゃない! お前は何度も俺の特製地雷を踏んでいたじゃないか!!」
「なら、お前の特製地雷とやらの矛盾を上げ連ねて見せようか?」
「な、何…!?」
「まず、地雷ってのは踏んだ瞬間にアウトなんだ、普通は。踏んでから2秒後に爆発する地雷なんて何の役にも立たない」
「……」
「次に、お前がずっと俺の後をつけてたことだ。地雷ならお前がいなくたって作動するだろ? ってことは爆弾は常にお前が俺の位置を確認して作動させなければいけなかった。つまりここに地雷が埋まっているなんて事は有り得ないんだ」
もはや奇誤の反応を見ただけで分かる。
俺の予想が正しかったことが。
「で、お前の能力だが…おそらく、何もないところから爆発を起こせる。とかいうもんじゃないか!?」
「……な…!?」
奇誤は冷静さをつくろう余裕もなくしているようだ。
「おかしいとは思ったんだ。ずっと。一歩ごとに爆発が起こるなんて。で、お前の視界から外れた瞬間、俺は確信した。お前は自分の意思で爆発を起こしてるんだと」
「………あの状況で、そんなことまで…!?」
奇誤はがっくりと膝を突く。
「……だが、お前の敗因はこんなことじゃない。最初に不意打ちして俺たちをさっさと倒すべきだったんだ。お前は、自分の能力を過信し、俺たちを侮った。それが、お前のはい—
「黙れ!!」
奇誤がわめく。
「敗因だあ!? 何勝ったような言い方してんだよ! 木の上からお前は俺に攻撃できんのか!?」
もはや奇誤には、正気などないように見えた。
俺は、返事をせずに、滅華を開放した。
「刃桜」
奇誤の周りを、無数の刃桜が包み込む。
「な、な……」
「さて、これが俺の力だ……どうする? 爆弾で吹っ飛ばしてみるか?」
「ひ、ひ、ひいいいいいいいい!!」
奇誤は慌てて逃げ出す。
「やれやれ……」
俺は地面に降りて、逃げ去る奇誤を見つめる。
どんどん遠くになってゆく奇誤の体、それが、俺の視界から消え去る瞬間—
奇誤の体が、バラバラになった。
鮮血があたりに吹き出す…
「何…!?」
何もなかったはずだ、少なくとも、俺には何も見えなかった…
これ以上ない、完璧な『暗殺』
まさか、これは—
「あーきーやー君♪」
「石切…!!」
いつの間にか後ろに立っていたのは、血まみれの剣を握る石切舞だった。