ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME 番外編なう ( No.227 )
- 日時: 2010/08/03 16:32
- 名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)
SIDESTORY① 「世界で4番目に大切なもの」
「貴様……品川に成りすましていたのか!」
リーダーが青筋を浮かべながら言う。
「その通り。ちなみにその品川って男は裏で気絶してるぜ。後で拾ってあげなよ」
秋夜が不敵に笑いながら返す。
「その前に貴様を消すのが先だ!!」
その言葉とともに他の男達も一斉に動き出した。
「真理奈、これが牢屋の鍵だ。それからそこの木材の裏にミーナの武器が隠してある。ミーナを助けてやってくれ」
秋夜はすばやく言うと、私に鍵を渡して男達に向かって突進していく。
今、男達の目は全て秋夜に向けられている。
チャンスだ—!!
私は急いで木材の裏へ行き。レイピアと機関銃を取り出す。
「おおっと。お前を見逃すと思ったか?」
「……!!」
いつの間にか、5人の男達が直ぐ後ろに迫ってきていた。
「真理奈! 機関銃だ!!」
ミーナが牢屋から叫ぶ。
同時に、私の体も動き出す。
機関銃を構えると、
「おい、バカやめろ!!」
「喰らえーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
無数の弾丸が男達を貫いた。
悲鳴を上げる暇もなく男達は全員崩れ落ちた。
私はミーナの武器を手に、牢屋まで行った。
すると、ミーナが声をかけてきた。
「ありがとう、真理奈。君が着てくれなかったらきっと私は………」
「いいって! 仲間じゃん?」
「……そうだね」
「そうそう……ほいっ! 外れた!!」
ついに、牢屋の鍵が開き、ミーナが開放される。
「げっ! リーダー、あの女解放されてるぜ!」
「何ぃ!?」
「リーダー! このガキ有り得ないくらい強いんですけど!?」
「何ぃ!?」
確かに、集団はすでに残り半分ほどになっていた。
「秋夜! あとは私はやる!!」
ミーナが、レイピアを構えて突進しながら言う。
「了解!」
秋夜はさっと後ろへ飛んで私のところへ来る。
「さて、ミーナが片付けるのを見学しようか」
秋夜がニコニコしながら言う。
「……うん! ミーナ、3分でぶっ飛ばしちゃえ!」
「30秒で充分!!」
言いながら、1人倒す。
「ふざけんなぁ!! 野郎共、あいつをぶっ殺せ!」
『おおう!!』
一斉にミーナに突進する男達。
「デッドステップ—」
「!?」
いきなり、真っ先に突撃した3人が、血しぶきをあげて倒れる。
「な、何だあれは!?」
リーダーが叫ぶ。
私には、普通に踊ってるようにしか見えなかったけど?
「……一回ステップするごとに、17回突いてるね」
「え!? 秋夜見えんの?」
「結構ギリギリだけどね」
まだまだミーナの華麗な技は続く。
「ロールデストラクション」
回転しながら敵を弾き飛ばし—
「サウザント・デビル」
無数の突きで相手を串刺しにする。
気付けば、残っているのはリーダーだけだった。
「ひ……ば、化け物…こっちに来るな!!」
「あなたには—手向けの言葉は必要ないね…」
ザシュッ…
リーダの胸を貫き、そこで戦闘は終了した。
ふと時計を見ると、残りは64人になっていた。
「結局……全員殺しちゃったじゃねえかよ」
あきれた様子で言ってくる秋夜。
「ごめん、どうしても我慢できなくなった」
「なんだって俺の回りは殺人狂ばっかり…」
秋夜は頭を抱えている。
「ねえ……秋夜?」
「ん? どうした真理奈?」
「何で、秋夜はアジトにいたの?」
「ああ。俺は俺であの集団に潜入してたんだ。情報収集の為にね。あの覆面男を気絶させて成りすましてたわけだ」
「なるほど……」
「で、こっそり調査してたらリーダーがお前達に遭遇したって聞いてさ……大変だったんだぜ? ミーナにこっそり正体を教えたりするの…あ」
秋夜がしまったといった風に話を切る。
ミーナも汗をかいている。
何で急に………そういえば
「ミーナは秋夜が助けに来るのを知ってたわけでしょ? ってことは………」
「そ、そ、そそそそそそそんなことより、秋夜、何かつかんだ情報を教えてくれないか?」
「お、おう……それがなぁ…」
「—私、わざわざここに命かけて突入することなかったんじゃない?」
周りの空気が凍りつく。
「それはまあ…」
「そうだな……」
その後、私は嫌というほど2人を説教しまくった。
「はあ…はあ…師匠のくだらない世間話を5時間聞かされたときよりきつかった」
「まさか真理奈があんな性格だとは…」
「何か言った!?」
『いえなにも』
「ならよし」
「……でも、私は嬉しかった」
突然ミーナが言った。
「ミーナ?」
「真理奈が助けてくれたとき、私はすごい嬉しかった。ありがとう」
「……もう、そんなこと言われたら怒れなくなるじゃんか」
「ふふ……それはよかった」
「本当によかったね。…ところでさ、ミーナって夢ある?」
「夢?………特に」
「ダメだなあ……あのね、ミーナ。夢ってのは世界で4番目に大事なものなんだよ?」
「そ、そうか……じゃ、真理奈の夢は?」
「私の夢はね……いつかこの島から出たら、ミーナと一緒に買い物に行きたい!」
「買い物? 私と?」
「うん! ミーナって絶対オシャレとか興味なさそうだし、買い物にも行かなそうだし……一緒に行きたいなって…」
「そうか…わ、私も、その…オシャレをすれば、れ、れ、れ、れでぃーというものになれるのかな?」
「なれるよ! ミーナ顔めっちゃ整ってるし、化粧したらもてまくりだよ!!」
「そ、そうか? ……私も行きたいな、買い物」
「でしょ? 絶対行こうね! 約束だよ!!」
私は指を差し出す。
「ああ、約束だ」
ミーナも指を差し出す。
繋がれた指を夕陽が優しく照らしていた。
残り64人 SIDE STORY①〜END〜