ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME 番外編なう ( No.247 )
- 日時: 2010/08/11 19:50
- 名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)
SIDE STORY② 「チェックメイト」
「ふんっ!」
わずかに、眼帯の男の手から衝撃波のようなものが見えた。
「うらっ!」
すかさずトリックスターで防御する。
「ほう……防いだか」
眼帯の男がにやりと笑う。
「ふざけんなっての…人間技じゃねえぞこれ。どんなレアウエポンだ?」
油断なくトリックスターで眼帯の男を取り囲む。
「人間技じゃない、か……まあそうであろう。俺は人間ではない」
「は?」
「自己紹介が遅れたな。俺の名は壊園。伝説の兵器だ」
「すまんが言ってる意味が分からん」
人間じゃない? 兵器? 知るかそんなの。
「まあ、無理もない……いいか、少年。このゲームにレアウエポンがあることは知ってるな?」
「…それがどうした」
「なら、通常の武器よりもはるかに高い性能の持つレアウエポンにも、ランクというものがあるのはどうだ? 知ってたか?」
「ランク…?」
「そう、レアウエポンはレアウエポンでも、抜きん出て能力が高く、かつその武器自身に意思が存在するものをとくにファントムウエポンと呼ぶ」
「ファントムウエポン…だと?」
「ふふふ、ここまで言えば分かるだろう。俺はファントムウエポンなのだ」
「……!?」
ファントムウエポンつったって、こいつ人間の形じゃないか……
「俺は……そうだな、ロボットとでも言うべきか…自我があるロボットなどそうそういないだろうがな…」
苦笑しながら壊園は言った。
「そうかよ」
「—!!」
俺はレーザーを壊園に見舞った。
辺りが煙に包まれる。
「やったか…?」
「—不意打ちが好きなようだな」
「な…」
煙の中から急に壊園が飛び出した。
「調子に乗るな」
壊園の拳は俺のみぞおちにめり込んだ。
「ぐはっ……」
そのまま地面にたたきつけられる。
ロボットというだけあって、かなり重い。
「げほっ…げほっ…」
口から血がボタボタと出てくる。
「言ったはずだ。俺はファントムウエポン、ただのレアウエポンのお前が勝てるはずもない」
「く、くそったれが…」
「口を閉じろ」
さらに壊園の蹴りを喰らう。
「ぐっ……!!」
飛ばされる先にはとがった木がある。
「ちくしょうが…!!」
俺は落下地点にトリックスターを置き、クッションにした。
そのまま地面に転がる。
「分かったか少年。所詮貴様は人間どまり。運命には逆らえんのだ…その証拠に、さっきのカカシ1つの敵も取れやしない…」
「……!!」
俺は猛烈に湧き上がってくる何かを感じた。
ゆっくりと、立ち上がる。
「まだ立ち上がるか。それもよかろう…とどめだ」
壊園が右手をすっと前に出す。
「お前はよくやった。が、俺の方が上だ…死ね」
衝撃波が飛んでくる。
「まだだ」
衝撃波はトリックスターが防いだ。
「……まだそんな力が残っていたか」
壊園が姿勢を低くする。
「肉弾戦で一気にひねりつぶしてやろう」
そう言うと、こちらに跳んで来た。
だが—
「ぐおっ!!」
レーザーがその勢いを止める。
そのまま地面に叩きつける。
「……貴様」
「…俺が人間どまりだからなんだ?」
「!?」
「お前がファントムウエポンだから? 力の差があるから? —そんなこと、関係ねえ!!」
「……!!」
「俺は戦う意味なんて分からない。運命なんてのも分かんない。立派なことなんて何1つとして言えねえよ…俺は、ただ…そこにある大切なものを守る、それだけだ」
「そんな考えで、俺に勝てると思っているのか?」
壊園が立ち上がる。
「勝てるさ。絶対に」
俺はそういうと、右手を高く掲げた。
「……何をする気だ!?」
「見てれば分かる」
俺が右手を振り下ろすと、トリックスターは6つに分かれ、それぞれ合体していく。
「それは……!?」
「分かんないかい? こいつはチェスの駒だ」
「チェス、だと……」
「今からお前を追い詰める!!」
俺はそれぞれの駒を一気に操る。
まずは、最も数が多い切り込み役—
「ボーン!」
ボーンの形をしたトリックスターがレーザーを発射する。
「うあっ!!」
壊園は上空に弾き飛ばされる。
次は、奇抜な動きで翻弄する戦士—
「ナイト!」
同じ様に、ナイトからもレーザーが発射される。
まだまだ攻撃は終わらない。
「ルーク!」
「ビショップ!」
「クイーン!」
次々とレーザーが発射される。
「く……なんだこの力はっ…」
「さあ、フィナーレだ!」
最後は、全ての頂点に立つもの—
「キング!」
そして、最後のレーザーが発射される。
「バカな…! この俺が…壊園が、負けるだと…!?」
「いったろ…だからどうしたってな…」
俺はトリックスターを戻しながら振り向く。
「チェックメイト・フルバースト」
「ぐああああああああああああああ!!」
そして、戦いに決着がついた。
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