ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME 番外編なう ( No.250 )
- 日時: 2010/08/17 22:40
- 名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)
SIDE STORY②「希望」
空中には、何も残ってはいない。
つまり、壊園は消え、俺は勝ったってこと、だよな…
「お兄ちゃん!!」
あの、女の子がこっちに走ってきた。
「……ウルトラカカシ1号の仇は取ったぜ」
「……ホント!?」
「ああ、ホントだ」
「わーい、ありがとう!!」
女の子が抱きついてくる。
「…どういたしまして」
俺は少しの間休憩すると、生き残っている村人に、火を消し止めるように言った。
ちかくにあった小川からバケツリレーが行われ、懸命な消火活動の結果、村の5割程度が焼けてしまったが、どうにか火は消し止められた。
そして、ようやく一息つける頃に、烈火さんが帰ってきた。
かなり激しい戦いだったらしい。服もボロボロだし、泥だらけだ。
「よっ……ケンちゃん」
それでも、烈火さんはニコニコ笑っていた。
「どうだったんです、ニセモノは?」
「にゃはは…強かったね…結局、引き分けさ」
「そうだったんですか…お疲れ様でした」
俺はフラフラになっていた烈火さんを近くにある家で休ませた。
「ふう〜…烈火さん結構ギリギリだったんだな」
烈火さんは家に着くなり爆睡し始めた。
その様子をぼんやりと見ていると、村長さんがやってきた。
「少年よ、まずはこの村をすくってくれたことに礼を言う。ありがとう」
「いえいえ、それは別に…」
「もうひとつ、すまなかった。私は、村を救うため、お前達を売った。許されざる愚行だといわれても仕方がない」
村長さんは土下座しながらそう言った。
「う〜ん……それも、別にいいですよ。村長さんにも守るべきものがるんでしょうし」
「……なんと、許すと?」
「許すも何も、最初から俺は売られたことについてはなんとも思っていませんよ。多分烈火さんもそうだと思いますけど」
「しかし……」
「俺の仲間で、すっげー頭がいいやつがいるんですけど、そいつが言ってました。何が正義で、何が悪なのか、正しい答えなんてないって…村長さんにとっては、村を守ることが正義。俺たちを売らなければ村は今頃完全に焼け野原になってた。俺たちを売ったのは当然のことでしょ。俺でもそうしたと思います」
「………そういってくれるか、少年よ…いや、この村の英雄よ、お前の名前を聞かせてくれんかの?」
「俺は、辻健太です」
「辻健太じゃな、その名前一生忘れんじゃろう」
「ははは…ありがとうございます」
「では、辻健太よ…ワシらに、何かできることは無いか?」
「そうですね……まずは、ゆっくり休ませてください」
俺はそういうと、烈火さんの隣に寝転がった。
よほど疲れが溜まっていたようで、俺はすぐに深い眠りに落ちていった。
次に目覚めたとき、村はだいぶ復元されていて、烈火さんも手伝っている。
俺は頭をかきながら、烈火さんのところに向かう。
「烈火さん」
「おっ、ケンちゃん、おはよう!」
どうやら、この人はすっかり復活したらしい。
「烈火さんは、これからどうするつもりなんですか?」
「私? う〜ん…また、ニセモノ探しかな〜…ケンちゃんは?」
「……俺は、約束があるんで」
「そっか……そうだったね…じゃ、ここでお別れだ」
「そのことなんですけど、話があるんです」
「お? 愛の告白?」
「あー…それはまた次の機会にします。烈火さん、俺たちの仲間になりませんか?」
「え?」
「烈火さん強いし、悪い人じゃないっていうのは分かったし、みんなも納得してくれると思うんです。それに、俺の仲間が集めた情報の中に、烈火さんのニセモノの情報があるかもしれないし…」
「でも……」
「大丈夫です、きっと皆歓迎してくれますよ」
「そ、そう…? じゃあ、お世話になっちゃおうかな」
「はい、じゃあ、改めてよろしくお願いします」
「うん、よろしく!」
こうして、烈火さんが俺たちの仲間になった。
結局俺たちは村の復興を最後まで見届けることができずに、出発する事になった。
「もう、あの村が襲われることはないだろうね…手下を失った私のニセモノは、しばらく行動できないだろうし、他の参加者はこんなところに村があるなんて夢にも思わないだろうし」
遠くで手を振っている村人たちを見ながら、烈火さんが言った。
「そうですね……それに、もし誰か来ても大丈夫だと思いますよ」
「?」
集まった村人の先頭に立っているのは、村人全員で作ったウルトラカカシ2号。
1号より倍以上大きくなっている。
「こいつなら、どんな敵でも追っ払ってくれrんじゃないですか?」
「ふふ…そうだね」
こうして、俺たちの村暮らしは終わりを告げた。
大きな大きな、希望をその地に残して—
残り63人 SIDE STORY②〜END〜