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Re: SURVIVAL GAME 番外編なう ( No.253 )
日時: 2010/08/22 12:01
名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)

STAGE Ⅹ  「神の裁き」

あれから、これといって情報はつかめなかった。

分かれて行動していたミーナと真里菜と合流したものの、2人の方も有力な情報はつかめなかったらしい。

そして、約束の1週間が過ぎた—





「…俺たちが1番か」

「みんな、大丈夫かな…」

真理奈が心配そうに辺りを見渡す。

「大丈夫だ。みんな簡単にやられるような人じゃない」

ミーナが優しく言う。

どうも、別れていた間にミーナと真理奈の間に何かあったようだ。

何というか……距離が縮まったというか…仲良くなったのなら、それはそれでいいことなのだが。

真理奈に聞いてみても

「えへへ、内緒」

と言われるし、ミーナに聞いても

「乙女の秘密だ」

と言われた。まさかミーナの口から乙女という単語が出てくるとは思いもしなかった。

「……ん? あれ、辻君じゃない? あれ、女の人が一緒だ」

見てみると。確かにこちらに手を振りながら歩いてくる辻の後ろに、見知らぬ女がいた。

「お〜い、秋夜〜!!」

「辻、無事だったか………その人は?」

「おう、俺たちの仲間になってくれるんだ。音無烈火さんだ」

「どーも、音無烈火です。よろしく! 烈火と呼んで!!」

音無烈火と名乗った女は、笑顔で手を差し出してくる。

少なくとも、敵意は感じられない。

「ああ、よろしく」

俺も手を差し出し、握手した。仲間が増えてくれるのは、こちらとしてもありがたい。

辻も情報は見つけられなかったようだが、道中で烈火と出会い、ひそかに存在していたという村の話をした。

「そうか……この島のもともとの住民がいたのか。なるほど、烈火は自分のニセモノを探すことが目的、というわけだな」

「うん、まーそういうこと」

一通りお互いに何があったかを話し合っていると、まだ来ていなかった鬼と、天上天下唯我独尊が帰ってきた。

「やあ、みんな無事でよかった」

「あら、べっぴんさんが1人いるね。新入りかい?」

「ああ、ちょうどみんなで何があったか話し合っていたところだ。2人の話も聞かせてくれ」

「ああ……」



話をまとめると、2人もとくに情報はつかめなかったらしく、また戦闘なども一切なかったそうだ。

「へえ、みんな一戦やらかしたんだね」

「なんだよ、こっちは言いつけ守ってコソコソしてたのによ」

「あのね、天。話聞いてた? 私たちだって好きで戦ってたわけじゃないの」

ミーナがあきれた様子で言う。

「気になるのは、ミーナたちと辻君たちが戦った敵以外に、人数が減ってないということだね。正直、1週間たつ前に第2ステージ終了もありえるかと思っていたけど」

鬼が腕を組みながら言う。

「確かにな。人数は残り63人。3分の1も減ってない」

第1ステージは1週間もしないうちに終わったのに、だ。

「第2ステージ時点で、残っている参加者は半分以上はレアウエポン使いだったはず。なのに、これといった激しい争いの形跡が見当たらない…妙ではあるね」

烈火も首をひねりながら意見を述べた。

「やはり、何かあると考えたほうが—




ピピピピピピピピピピピピピピピピピピ!!!




「なんだ!?」

突然、時計が一斉に鳴り始めた。

時計画面には、残り人数と時間ではなく、Mの仮面をかぶった男—マスターが映っていた。

『諸君、この時計が通信機能まで持っていたとは思わなかっただろう……

さて、お知らせだ。

第2ステージが始まり、すでに1週間がたった。しかし、参加者の数は一向に減らない。みな積極的な戦闘を避けているな。

理由は、言うまでもなく、参加者の何人かが、イカダで島からの脱走を試みたからだろう』

「イカダで脱走!?」

辻が驚いたように言う。

「これで特に目立った戦闘がなかった理由がはっきりしたな」

鬼が冷静に言う。

『が、無論これはルール違反だ。本来ならばイカダごと違反者を死刑にするところだが……今回は見逃した。

そのかわり、第2ステージにおいては若干のルール変更を行う。良く聞け。

この通信が終わった瞬間から、3分ごとに諸君らの時計がランダムで爆発するように設定した』

「な……時計に、爆弾だと!?」

「強制的に殺し合いをさせようってのか…!?」

マスターの通信は続いた。

『もちろん、時計を外そうとすれば、爆発する。どこにいても時計は爆発するので注意するように。なお、この通信以降1人でも相手を殺したものはその場で第3ステージ進出が決定する。爆弾で吹っ飛ばされるのが嫌なら、誰かを殺すしかない。諸君らの健闘を祈る。通信は終了する』

そういうと、画面が消え。、また元通りの画面に戻った。

「なあ……さっきの話、どう思う?」

「まあ、ほぼ100%本当だろうね。3分立てば誰かが死ぬ。嫌なら殺し合いをしろ。ということだろうね」

「ようするに、やつらは何らかの理由で決着を急いでいるんだな」

「なんにしても、どうするか決めないと」

他のメンバーが話している中、俺は考えていた。

どうして、マスターは決着を急ぐのか。

何か、殺し合いには意味があるのでは?

もし狙いがあるのだとすれば……?

その時、俺は重要なことを忘れていたことに気付く。

「100人目…」

そう、鍵は、100人目の参加者なのではないか?

「みんな、聞いてくれ!!」

俺は出せる限りの大声で叫んだ。

全員が俺の方を見る。

「俺は、この殺し合いには何か意味があると思うんだ。それで、今まで忘れていたんだが、どうやらここには100人目の参加者がいるらしいんだ」

「100人目?」

「何でそんなことを秋夜に限って忘れたんだ、ってことは置いといて、そいつは怪しいな」

「でも、その前にこの状況を何とか—


「うわああああああ!! 助けてくれ!!」



近くの森から、男が出てきた。

「頼む、助けてくれ……助け…」

次の瞬間。



轟音とともに、辺りは白光に包まれた。

「うわっ!!」

爆風で、思わず地面に転がる。

「いてて……なんだったんだ、今の…」

起き上がると、男は跡形もなく消えていた。

「あれ? さっきの男の人は…」

「消えたんだ」

乾いた声で鬼が言った。







「いよいよ、真のサバイバルが始まったんだ」

残り62人