ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME 重要なお知らせ ( No.269 )
- 日時: 2010/09/11 12:20
- 名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)
FAINAL STAGE 「最後の犠牲者」
第2ステージ終了まで、あと残りわずか。
残り人数は40人。3分ごとに1人強制的に消える『特別ルール』で、あと30分以内にはすべてが決まる。
そんな状況の中、現れた謎の女。
俺を殺すといっていたな。
「ほう……少しはやるようだな、遠野秋夜」
女は、無表情で言ってくる。
「攻撃には耐え切ったぜ。お前の正体を話せ」
「……ふん、いいだろう。私の名前は刹那、100人目の参加者だ」
やっぱりか。すると、こいつはこのゲームを操るマスターとつながっている可能性は高い。
「何のために俺を殺すんだ」
「何って……生き残るためさ!!」
言い終わるや否や、恐ろしい速さで飛び込んできた。
「くっ!!」
俺は迫り来る双刀をはじき返しながら感じた。
こいつは、間違いなく今まで戦ってきた誰よりも強い。
「ちっ、えらくぶっ飛ばしてくれたじゃねーか」
左目にセンサーを付けた男は、頭をかきながら立ち上がった。
「悪いね、手加減するのは苦手なんだ」
私は双刀を構えながら、一歩男に近づいた。
「まあまあ、そういきり立つな。俺達の狙いはあんたじゃないんだよ、鬼さんよ」
「……!! 私を知っているのかい?」
「そりゃあもう。俺たちはあんたたちのことについては全部知っている。もちろんその実力のほどもね」
「ほう、私の実力のほどを知っていると…?」
「そうさ、あんたは強い。だが、俺のほうがもっと強いんだ、覚えておきな、鬼。俺の名は風上影李、通り名は『神速影李』だ!!」
風上はマシンガンのようなものを取り出すと、私の視界から一瞬で消えた。
—速い!!
「いったろ、俺はあんたより強い」
「そこか!!」
私は後ろに向かって斬撃を飛ばした。
が、そこにあった気配はまたも一瞬にして掻き消えた。
「さすがに、神速というだけあるね。少しは楽しめそうだ」
言いながらも、全神経は周りに向けられている。
フッ—
視界の何かがうごめく。
見つけたときには横に転がっていた。
すると、ほんの0.1秒前まで私がいた場所に無数の弾丸が叩き込まれていた。
「へえ、良くかわしたな。さすがに鬼退治はうまくはいかないか」
「私を倒したければ桃太郎でも連れてくることだね」
そして再び、風上が動き出そうとした時—
ピピピピ!!
時計が鳴った。
見てみると、まだ40人いたはずの参加者は、あっという間に33人にまで減っていた。
「ちっ、石切のヤツ、もう我慢できなくなったのかよ」
うんざりした様子でマシンガンをおろし、クルリと背を向けた。
「あんたとの勝負はお預けだ。ちょっと急用ができた。第3ステージで会おう」
一方的にそう言うと、風上はどこかへと立ち去ってしまった。
それにしても、この一瞬の間に7人もの人間を消した人物は、一体何者だろうか。
私はもっと大きな事件が起きつつあるのも知らずに、そんなことを考えていた。
一体、何なんだこの女は!?
私は目の前で起こっている事実を受け入れられずにいた。
たった1人の女に、私たち全員が負けた。
「あーあ、だからおとなしくしててくださいって言ったじゃないですか?」
白く輝くハンマーを手に、女は哀れむような目で私たちを見ていた。
「くっ……」
天はまだ辛うじて意識は残っているみたいだったけど、辻や真理奈、烈火は完全に気絶している。
「もう、まだ立ち上がるんですか? 天上天下唯我独尊さん、ミーナ・アラストルさん?」
あきれたような笑みを浮かべながら女は再びハンマーを構える。
「ミーナ………下がってろ。俺がやる」
天はフラフラと立ち上がりながら、日本刀を構える。
「やめるんだ、天…!」
だが、天はそのまま最後の力を振り絞り、突進する。
「うおおおおおおおおおおお!!」
天は渾身の一撃を放つ、が—
「…!」
防がれた、女は何もしていないというのに。
「言ったでしょう? 私の『スピリチュアルハンマー』の前では、いかなる攻撃も無意味だって」
「くそ……!」
女が止めを刺すまでもなく、天は力を使い切ってその場に崩れ落ちた。
「さて、あなたはどうします? ミーナさん?」
女は余裕の表情でゆっくりと近づいてくる。
ダメだ、動けない。
「あ、そうだ、まだ自己紹介してなかったですよね? 私は白輝雷茄、以後よろしくお願いします!」
ゆっくりとハンマーを持ち上げながら、白輝はそう言った。
「大丈夫ですよ? 殺しはしませんから。少し寝てもらうだけです」
振り下ろされるハンマー。
世界が、暗転した。
「………残り31人か。石切が暴れているようだ」
肩で息をする俺を尻目に、刹那はため息をつく。
こいつは、恐ろしく強かった。
俺の攻撃が何一つ通用しない。
けど、諦めるわけには行かない。
あと、三分耐え切ればいい。
しかし—
刹那は、俺のほうを向いていった。
「時間がないから、決めさせてもらう」
「……!!」
刹那は一瞬で俺の背後に回りこんだ。
反応が間に合わない。
「—黄泉送り」
刹那が地面に何かを打ち込むと、俺の足元が突然黒くなった。
「………な!」
ゆっくりと、引きずり込まれていく。
もがけばもがくほど、引きずり込まれる速度が増す。
「終わりだ、遠野秋夜。お前は死んだ」
「くっ……!」
胸の辺りまで引きずり込まれた。
「安心しろ、痛みはない」
顔まで埋もれ始める。
「ち……くしょ…う……!!」
完全に埋もれると同時に、俺は意識を失った。
「黄泉の国まで、良い旅を、遠野秋夜」
残り30人—SURVIVAL GAME 第2ステージ終了