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Re: SURVIVAL GAME 第2ステージ終了 ( No.287 )
日時: 2010/10/06 13:05
名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)

STAGE Ⅱ 「共闘」

第3ステージの説明が終わって十数分だったが、誰も動こうというものはいない。

それは私たちも同様だ。

さしずめ、腹の探りあいというところか。

しかし、動かなければ先へは進めない。

配られた地図を見ると、どうやら四神なる化け物たちはそれぞれ北、南、東、西の方角にいるようだ。

玄武、朱雀、青龍、白虎—

四方をつかさどる霊獣を模した化け物から、宝玉を奪わなければならない。

あまり時間がかかりすぎると、第2ステージのときのように急がされるかもしれない。

ならば、早く動き出さなければ…

「…よし」

私は意を決して、立ち上がった。

一斉に、私に視線が注がれる。

「私は鬼。話を聞いてもらいたい。あの化け物から宝玉を奪わない限り、私たちは生き残れない。今すぐに動くべきだ」

案の定、最初に聞えてきたのは反論だった。

「んなこと言ったって、あんな化け物とどうやって戦うんだよ!!」

「大体あんた何様だよ! えらそうに仕切りやがって!!」

「そうだそうだ!!」

「引っ込め!!」

やはり、ダメか—!!

私はあきらめて座ろうとしたとき—




「黙れ!!」




辻君が立ち上がって叫んでいた。

一斉に静まり返る。

「あんたらまだこの状況が分かってないのか!? 動かなきゃ誰も生き残れない! 第2ステージのときみたいに爆弾仕掛けられなきゃ動けないのか!?」

誰も答えられない。

しばらく、沈黙が続いた。

破ったのは、第2ステージの最後で戦った風上という男だった。

「道理だな。そいつが言ってることが正しい」

風上は立ち上がって周りを見渡す。

「俺はこのまま黙って殺されるのはごめんだ。別にこのまま待って死ぬのを待ちたいなら止めはしない。勝手に死んでな。けど、俺は行くぜ」

周りがざわつき始める。

「俺は戦う。こいつらとな」

私たちを指差し、風上はそういうと座り込んだ。

一体何を考えているのかは知らないが、彼のおかげで他の参加者に迷いが生まれた。

すかさず私は話を再開させた。

「協力しないとダメだ。ついこの間まで殺しあってたかもしれない。けど私たちの目標は一つのはずだ。いがみ合う必要はどこにもない。戦おう」

訴えかけるように言うと、参加者の心は動き始めた。

「確かに…やらなきゃやられるんだしな」

「俺も…戦おうかな」

「よし決めた! 俺はやるぞ!!」

その空気は瞬く間に部屋中を伝染し、すぐに協力体制はまとまった。








話し合いの結果、時間制限が設けられないうちは、1対ずつ確実に宝玉を奪う形にする事で一致した。

基本的に、まず数名で様子を伺う。

化け物たちがどんな能力を持っていて、宝玉はどの位置にあるのかを確認する。

いきなり全員で行ってから見極めるのでは遅すぎるし、最悪全滅の可能性すらある。

だから、まずは仮にやられてもその後の対策が取れる先行隊を作ることにした。

まずはその先行隊の選抜でもめた。

少人数、具体的には5人ほどで敵地に乗り込むのだ。

大きな危険が伴う事は言うまでもない。

しかし、これはそれぞれかなりの実力を持ったものがリーダーになるといった形で納得させた。

もともとほぼ全員がレアウエポンを所持している。

しっかりと率いることの出来るものが行けば、必ず生き残れるはずだ。

先行隊には、私と天、ミーナ、辻君、烈火がなった。

「で……最初はどこに行くんだ?」

辻君が地図を広げながら聞いてくる。

「んー…弱そうだから亀からでいいんじゃない?」

「弱いって事は無いとおもうけど…」

ミーナが困った顔で言う。

「ま、とりあえずどこからでも一緒だろ。どうせ全部相手しなけりゃいけないんだしな」

天が日本刀をいじりながら言った。

私はみんなの意見を聞いてから、しばらく考えてから言った。

「よし、まずは玄武だ」






私たちはコテージを出て、北へと進んだ。

「なあ鬼、本当にあんな化け物いると思うか?」

「まあ、いるだろうね。あの連中ならどこでもドアでも出せるよ」

私は冗談交じりに答えると、辻君は黙り込んだ。

「どうしたんだい?」

「いや、今さらな話なんだけど、あんたと天、とミーナって、どうやってここに来たんだ? 俺とか秋夜とかは誘拐されたんだけど、あんたらに限ってそれはないだろ?」

確かに、私たちの正体についてはまだ何も話してはなかったかな。

「まあね。私たちは—

「師匠、あれです」

唐突に、ミーナが前方を指差した。

「うわ、何だあれ…」

辻君が呆然とつぶやく。

確かに、それは亀だった。

ただし、とてつもなくデカい。

うっそうと生い茂る木々よりもはるかに高い。

「なるほど…こいつが玄武か…」

天が日本刀を構える。

玄武は甲羅の中に閉じこもっているようで、動きは無い。

「みんな、慎重に行くんだ。宝玉を回収できるなら、それに越したことは無い」

みんなが無言でうなずく。

「辻君と烈火は後から、天とミーナは付いてきて」

前に3人、後ろに2人の体制でゆっくりと玄武に近づく。

いよいよ数メートル先までというところまで来た。

「玄武は気付いてないみたいだ。ここから先は私たちで行くから、2人は待ってて」

私は後ろの2人にそう指示を与えると、再び進んだ。

いよいよ2,3メートルというところまで来たとき—

いきなり、壁のようなものが後ろに出てきた。

「な……!?」

つまり、逃げ道をふさがれた形だ。

辻君と烈火が壁を叩くが、こちらにはこれないようだ。

つまり、私たちは閉じ込められたのだ。

何のために—?





「鬼! 後ろ!!」








後ろを振り返ると、殻の奥から妖しく光る2つの光が見えた。

「おいおい、3人であいつとやれって?」

「そうみたい。3人揃っては久しぶり」

どうやら、2人はあきらめてはいないらしい。

無論、私もここで終わる気は無いが。







実に最悪の形で、玄武との対戦は始まった。