ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME 第3ステージ突入!! ( No.296 )
- 日時: 2010/10/09 17:57
- 名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)
- 参照: http://www.dejavu.jp/~webmaster/upbbs/users/test/img/1286535744.jpg
STAGE Ⅲ 「3人で」
〜前回までのあらすじ〜
遠野秋夜が黄泉帰りの試練をはじめたころ、ロストアイランドでは「SURVIVAL GAME」第3ステージが始まった。
第3ステージの内容は、島にある4つの宝玉を「四神」という化け物から奪い取ること。
最初は第3ステージ攻略に消極的だった参加者も、鬼の説得によって団結。早速四神のうちの1体、緑の亀玄武を攻略する事になる。
先行隊として玄武のところへ向かった鬼たち5人だったが、正体不明の壁によってメンバーが分断されてしまい、鬼、天上天下唯我独尊、ミーナがたった3人で玄武に挑むことになる。
果たして3人は生き残ることが出来るのか…?
玄武はまだ甲羅の中に収まったまま、こちらを妖しく光る目で見ている。
その距離、わずか3メートル。
私達は出来る限り距離をとって玄武と相対する。
「師匠、どうします?」
ミーナが油断なく機関銃を構えながら言う。
「まだ動かないで。天もだ。こちらから仕掛けるのはまだ危険だ」
「了解した」
天も日本刀に手をかけたままの体制を維持する。
玄武は動く様子を見せない。
何を待っているのだろうか。
「鬼、壁になんかついてる!!」
すると、壁の外から辻君が声をかけてきた。
振り向いて壁の方を見ると、確かにパネルのようなものがついていた。
ゆっくり近づいてみると、画面にこう表示されていた。
『玄武玉取得、挑戦者3人。心の準備がよろしければ戦闘開始の部分にタッチしてください。なお、この壁が消えるのは宝玉を手に入れるか、挑戦者が死んだときだけです。挑戦途中で人員の補充は認められないので注意してください』
要するに、先行隊に様子を見させるなんて甘い真似は許さないと言うことだ。ここまでマスターの予想通りだったわけ、か。
「どうするんだ、鬼?」
辻君が心配そうに私を見る。
「大丈夫だ。私達はそう簡単に死にはしない。どちらにしよ、戦闘を始めないとこの壁は消えない。やるしかないさ。もし万が一があったら、そのときはよろしく」
辻君はさらに何か言おうとしていたようだが、私は構わず戦闘開始の部分にふれながら手振りで戦闘開始の合図を送った。
2人はすかさずジャンプで玄武の後ろに回りこむ。
玄武も動き出した。
まず4つの穴から足が出てきて、頭の向きを反対にする。
私はその隙を狙って死角にあった後ろの足を双剣で一気に切り裂いた。
真っ赤な血が飛び散る。だが玄武は気にしてもいないようだ。
理由は直ぐにわかった。
切り裂いた傷が、みるみるうちに閉じていく。
「………ちっ!!」
どうやら一筋縄ではいかないね。
ミーナと天もそれぞれまだ出てない頭の穴に向かって攻撃しているが、手ごたえは無いようだ。
その時、玄武が突然体を振るわせ始めた。
「……!?」
ミーナと天の動きだ一瞬止まる。
まさか……!!
「2人とも、頭が出てくる、よけろ!!」
言うと同時にものすごい勢いで玄武の頭が出てきた。
『グオオオオオオオオオオオオオオ!!』
およそ亀とは思えない咆哮をあげる。
頭には角が生えていて、目は紫色に光っている。
「何、これが亀だっての?」
「信じられない…こんな生物を作り出せるなんて」
2人は木の上に飛んでなんとか回避したようだ。
「2人とも、頭を一斉に叩く。いいね?」
2人はうなずいた。
玄武はミーナと天を交互に見渡している。
動きは予想通り鈍い。
「今だ!!」
私達は一斉に玄武めがけて斬撃と銃弾を見舞った。
玄武の頭で、激しい爆発が起こる。
頭は吹き飛び、玄武の首はとんだ。
「よっしゃ!!」
天がガッツポーズをする。
玄武の首からは血が滴り落ちており、それが明らかに玄武は死んでいることをあらわしていた。
「よし、宝玉を取りに行こう!!」
私達は玄武の体があった更に奥まで進んだ。
しばらく行くと、緑色に輝く台があり、同じく緑に光る玉が置いてあった。
「これが玉座……」
ミーナが手に取り、見つめる。
「とにかく、ここを出よう。早く戻って知らせないと」
私達は急いで道を戻った。
ほどなく、玄武と戦った場所まで戻ってきた。
ところが—
「玄武の死体がない!?」
そう、死んだはずの玄武の体がそっくりなくなっていた。
辻君達もいない。コテージの仲間を呼びに行ったのだろう。
「くそ……あんなもんなくなるわけがねえ! どういうことだ!?」
天が辺りを見回すが、何もない。
「構わないで、とにかく出よう!」
そういって、再び走り出そうとしたとき—
不意に、辺りが暗くなった。
「!?」
3人が、同時に意味を察した。
上を見上げる前に、私達は横に飛んだ。
私達が離れた1秒後に、何かが落ちてきた。
激しい地響きと突風が私達を襲う。
落ちてきた何か—言うまでもなく玄武だ。
吹き飛ばしたはずの頭も、きっちり再生している。
「頭吹き飛ばして生きてるなんて反則だろ!?」
天が呆れ顔でつぶやく。
「驚異的な再生能力……それが玄武の特徴…」
ミーナも呆然としている。
「落ち着くんだ2人とも。玄武は攻撃してこない。また頭吹き飛ばしてその隙に通り抜けよう」
そう、玄武はその圧倒的回復力は確かに脅威だが、見方を変えればそれだけの存在。
2人もその意味を察して、すぐに落ち着きを取り戻した。
「行くぞ!!」
私達は再び飛び上がり、攻撃しようとする。
『でやあああああああああああ!!』
3人の渾身の一撃が玄武の頭に叩き込まれる。
威力はさっきの技の5倍はあるだろう。
カケラ残さず玄武の頭は吹き飛んだ。
そのはずだった。
爆風による煙が晴れたとき、私達は信じられない光景を目にした。
「ウソだろ…!?」
玄武の頭は残っていた。
そして、甲羅には、黄金色に輝くヘビのような生き物が出てきていた。
「これは……!!」
私達に、にわかに焦りが出始めた。