ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: SURVIVAL GAME ( No.3 )
日時: 2010/05/01 16:56
名前: いち ◆mBjthR0pMA (ID: PmZsycN0)

STAGE Ⅰ 「チュートリアル」

ここ……は、どこだ…?

俺は、体をゆっくりと起こした。

大きい部屋だ、むきだしのコンクリの壁に、俺も含め数十人の人が倒れている。

「ねえねえ、君」

いきなり、隣にいた女の子に話しかけられた。

「…なんだい?」

「私、神木真理奈、よろしく」

こんなわけの分からない状況で、自己紹介か。でも、これくらいの人がいたほうがいいのかもな。

「俺は、遠野秋夜だ。こちらこそ、よろしく」

「秋夜かあ、かっこいい名前だね! 秋夜って呼ぶね!」

「分かった、じゃあ俺は真理奈って呼ぶ」

「りょーかーい♪」

場違いなほどテンションが高い、少なくともここが楽しい場所ではないということは、分かると思うのだが…

やがて、周りの人たちが起き始めてきた。

みんな、わけも分からないうちに、ここにつれてこられたらしい。俺もそうだ。

いつからか、まったく記憶がなくなってしまった。

自分のことについては全部覚えているのに、何でここにいるのかはまるでさっぱりだ。

記憶をたどってみるが、やはり何も思い出せない。

一体、ここに来て何をさせようというのか。

ふとそんなことを考えた時、部屋の扉が開いた。

それまで散らばっていた人の目線がいっせいに扉のほうへ向けられる。

入ってきたのは、Mの形をした仮面をかぶっている謎の人物だった。

「やあ、諸君、目が覚めたかな」

男とも女ともとれる不思議な声だ。

「君たちにここに来てもらったのは、他でもない。君たちに『SURVIVAL GAME』略してSVGに参加してもらうためだ。

サバイバルゲーム? どういうことだ?

「簡単に言えば、君たちにはこれから生き残りゲームをやってもらう」

その言葉で周りがざわつき始める。

「静かに。説明を続ける。諸君、右手首に付けられている時計を見てくれたまえ」

その言葉で初めて俺は右手に時計が着いていたことに気付いた。

「その時計はこのゲームで最も重要なアイテムだ。君たちには、その時計の奪い合いをするんだ」

また回りがざわつき始める。

「その時計を3つ以上奪ったなら、君たちは生き残れる。奪う方法は問わない。騙すなり、脅すなり……そして、殺すなり、方法は自由だ」

さらに説明は続いた。

「時計を奪われて、0個になった場合、その人物は失格とみなし、その場でわれわれの手によって殺す」

部屋中が静まり返る。まだ夢か現実か図りかねているようだ。

「なお今回のゲームは3人1組のチーム戦で行う。3人全員が時計を3個獲得しないと生き残ったとはみなさないから注意すること。また、島のいたるところに銃や刀などの武器が隠されているから、ぜひ活用してくれ」

ここに至って、初めて俺は察した。これは生き残りをかけたデスゲームなのだと。

「は! そんなの嘘に決まってるじゃねえか!」

突然俺の目の前にいた男が立ち上がった。

「嘘、とは?」

「だから、そんな殺すとか、できるわけ無いだろうが!」

「そうか」

言うと同時に、仮面の男は銃を抜き出し発砲した。

声を上げる暇もなく、男は倒れた。

血が流れている。つまり、死んでいる。

真理奈も息を呑んでいた。

「分かっていただけたかな?」

もう、誰も何も言わなかった。

「最後に、チームは時計に書いてある1から99までの番号が同じ人同士で組んでくれ。では—







—ゲームを始める」

仮面の男はそのまま扉から去っていった。

俺の時計を確認すると、77番と書いてあった。

「お、同じじゃん!」

真理奈が時計を見せてきた。確かに、77番だ。

「よろしくね」

「ああ」

さて、まずはもう1人のチームメイトを探そう。






          残り99チーム