ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME 第3ステージ突入!! ( No.303 )
- 日時: 2010/10/26 12:51
- 名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)
- 参照: http://www.dejavu.jp/~webmaster/upbbs/users/test/img/1286535744.jpg
STAGE Ⅴ 「激闘の末」
〜前回までのあらすじ〜
金色のヘビは玄武と一体になっている攻撃担当の生物だった。
絶対無敵の防御に加え強力な炎弾を発射してくる玄武に、鬼たちは絶体絶命のピンチに陥る。
やむを得ず鬼たちは強烈な反動を受ける奥義『業炎焦土』を繰り出すが…!?
『奥義—業炎焦土!!』
私達が心を1つにして叫ぶと、玄武を取り囲む魔方陣から黒い炎が立ち上ってくる。
「グガアアアアアアアアアア!!!!!」
玄武は鼓膜を破らんばかりの絶叫を上げのた打ち回る。
それを確認すると同時に、全身から力が抜けてゆく…
「師匠!!」
ミーナが慌てて体を支えてくれる。
出せる限りに力を出し切るこの技は、いったん出すと向こう3日間は私でも意識を失う。
自慢ではないがこの技を出して負けた事は一回もない。
というか、この技で負けたら私はこの世に存在していないわけではあるんだけどね。
なんて1人解説している間にもどんどん意識が遠のいてくる。
「くっ…ダメだ。落ちる。天、ミーナ…よろしく」
私はそれだけ言うと、深い眠りに落ちた……
天とミーナがぐったりとした鬼を連れてコテージに帰ってきたのはもう日が暮れてからのことだった。
「鬼…!?」
俺が慌てて駆け寄ろうとすると、天が右手で制した。
「大丈夫、寝てるだけだから。それより辻君、今すぐ布団を用意してくれ」
「わ、分かった!」
烈火さんと一緒に急いでベッドメイクを終わらせ、鬼を寝かせる。
一段落ついたところで、天とミーナは他の参加者の質問攻めにあった。
「おい、なにがったんだ!?」
「詳しく話してくれ!!」
2人はもみくちゃにされる。
「いいから落ち着け! 馬鹿野郎ども!!」
誰かが一喝すると、辺りはたちまち静まった。
声のしたほうを振り向くと、俺達がいない間にすっかり参加者のリーダー的存在になった風上がむすっとした表情で立っていた。
「何あったかなんて見れば分かるだろ。それよりも俺達には考えなきゃいけないことがあるはずだ」
言いながら、天とミーナに群がる参加者を押しのけ、2人の前に立つ。
「宝玉は手に入れられたか?」
ミーナは無言でうなずき、懐から緑色に光る玉を取り出し、風上に放る。
「よくやってくれたよ、たった3人で。まずは礼を言わせて貰う。話は辻君から聞いたよ」
「どうも」
ミーナがそっけなく返す。
「ただ……残念なお知らせがある」
「……?」
怪訝そうな面持ちでミーナは風上を見る。
何の話か検討がついていた他の参加者が、思い出したようにくらい表情になる。
「何か気付かないか…?」
風上が静かに言って来た。
ミーナはしばらく考え込んでいたが、口を開いたのは天だった。
「人数が減ってるな。それもかなり」
ミーナもはっとして辺りを見回し、厳しい表情になる。
「お前らが行っている間にも、他の四神のところに先行隊を送ったんだ」
風上が話を続ける。
その先を察した2人がうつむいて唇を噛みしめる。
「送った9人、全員帰ってこなかった」
そう、鬼たちが宝玉を回収したとはいえ、残り3体の四神がいるのに俺達は全体の約3分の1の人数を失ってしまったのだ。
「誰がやられたんだ?」
天がボソリと言った。
「前に戦った仁杜と、月影、雨津…秋夜が麗鈴と一緒に戦った永瀬たちとかがやられた」
俺が言うと、天はそうか、と言うと黙り込んでしまった。
「残念だし、大きな痛手だが、悔やんでも仕方あるまい。次の手を考えよう」
秋夜を殺した刹那という女が静かに言った。
「待てヨ!!」
その言葉に反発したのは麗鈴だ。
かつてはあいつとチームだった籐梅君津も例の9人の中に入っていた。
「そんな簡単でいいノカ!? お前には感情がなにかヨ!!」
麗鈴は刹那に激しく詰め寄る。
刹那はチラリと麗鈴を見やると、左手をひゅっと動かした。
「…っ!?」
すると、麗鈴はあっというまに部屋の端まで弾き飛ばされてしまった。
「何を…!?」
参加者の何人かが色をなすと、刹那は冷たく言い放った。
「やるか?」
「……!!」
歳は俺達とそう変わらないように見えるが、強烈な威圧感だ。
参加者達は直ぐに静かになった。
「死んだ者を悼みたければいますぐ言え。私が後を追わせてやろう。だが、生きていたいなら黙って他の手を考えるんだ」
刹那はそれだけ言うと、座り込んで後を風上に任せた。
「と、言うわけだ。みんな、何か案はあるか?」
風上が呼びかけるが、誰も反応しない。
ややあって、第2ステージで俺達を一瞬で倒した白輝雷茄が立ち上がった。
「案も何も、今度は全員で行くしかないのでは? 一度入ったら宝玉を手に入れるか死ぬしか出られないのであれば…多少の危険は冒しても、私はそのほうがいいと思います」
言い終えると、参加者の間にざわつきが広がる。
「確かにそうかもしれない…」
「また少人数で行って全滅だと意味がないし…」
参加者の意見はまとまりつつあった。
風上が手をパンと叩いて全員を静かにした。
「じゃ、改めて聞こう。全員で攻略に賛成の人?」
一斉に手が挙がった。
「決まりだな、では次に攻略する四神を決めようか」
さすがにこれには、誰も意見が出せなかった。
どれが最良の選択なのか、など誰にも分かるはずがない。
すると、烈火さんが手を上げた。
「はい、そこのお嬢さん」
風上が指名すると、烈火さんは勢いよく立ち上がって言った。
「クジ引きがいいと思います!!」
辺りが静まり返る。
「だって、結局どいつとも戦うことになるんでしょ? だったらどれからはじめたって一緒じゃん!!」
いや、確かに正論ではあるけどさ…
「ん、よし! クジ引きにしよう!!」
風上は今度は独断で決めてしまった。
だが、誰も反対する者はいなかった。
それどころか、逆にわずかながら明るい雰囲気が出はじめた。
おそらくは、烈火さんの明るさが参加者に希望をもたらしたのだろう。
改めて烈火さんはすごいな、と思っていると、クジが完成した。
「よし、じゃあ早速引くぞ!!」
風上が箱の中に手を入れて、勢いよく引き抜いた。
次はどいつだ…?
全員に緊張が走る中、風上が告げた。
「白虎だ」