ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME 第3ステージ突入!! ( No.304 )
- 日時: 2010/10/30 14:58
- 名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)
- 参照: http://www.dejavu.jp/~webmaster/upbbs/users/test/img/1286535744.jpg
STAGE Ⅵ 「第2の四神」
〜前回のあらすじ〜
鬼、ミーナ、天上天下唯我独尊による奥義『業炎焦土』によって辛くも玄武を退け、1つ目の宝玉を手に入れた。
しかし、鬼は技の反動で意識を失ってしまう。
一方、次なる四神攻略に向け、風上影李が動き出す。
話し合いの結果、全員で攻略に取り組むことになり、次に戦う四神は白虎になったのだが…
「じゃあ、2人ははここで鬼を看ててくれ」
「分かった。気をつけて、辻君」
とミーナが答える。
俺はうなずくと、鬼が寝ている部屋から出た。
ミーナと天は鬼ほどではないにしろ、怪我を負っているので今回の攻略には参加しないことにした。
攻略は2つのグループに分かれて行い、それぞれ刹那と風上が指揮する。
俺は風上の方、烈火さんと真理奈は刹那の方だ。
ただし、真理奈は唯一レアウエポンを持っていないので、あくまでも全体の補助と言う形だ。
「頑張んないとな…」
ほっぺを叩き、気合を入れなおす。
外に出ると、すでに皆が集まっていた。
「準備はいいかい、辻君?」
風上が目のセンサーをいじりながら言う。
「問題ない」
俺は短く答えると、風上はよしと言って立ち上がった。
「みんな、行くぞ!!」
『オーーーーー!!』
刹那と風上が先頭となって、森の中を進んでいく。
周りを見ると、ほとんどの参加者が緊張した面持ちでいる。
前を歩いている麗鈴も同様だ。
「大丈夫か、麗鈴」
麗鈴は振り向きながら答える。
「アア、正直言ウト、結構キツイ」
笑顔ではあるが、どこかぎこちなかった。
「だよな……そういえばお前、レアウエポン手に入れたのか?」
少し前の話だが、風上がレアウエポンを持っていない人を確認したとき、手を上げたのは真理奈だけだった。
「まあナ。これだヨ」
言いながら、右手を俺の目の前に差し出す。
「なんだ?」
普通の右手に見えるが…
と思っていると、突然右手が変わった。
「うわっと……これは…篭手、か?」
麗鈴の右手は、青い篭手のような物に変わっていた。
「篭手じゃナイ。これはビーストアーマーだヨ」
「ビーストアーマー?」
「両腕両足が、獣の装甲になるレアウエポンダ。身体能力が上昇シテ、さらに特殊な攻撃も出来る代物ダ」
右手を普通の状態に戻し、麗鈴は寂しそうに笑った。
「こいつでなんとか生き延びてきタ。けど蚯蚓と君津はもういなイ。守るべきものがなくなった俺にこんなものが必要なのかどうかは微妙なところダナ」
そう、蚯蚓さんは第2ステージで、君津さんはこの第3ステージで死んでしまったのだった。
「そっか…大変だったな、お前も」
「アア……そっちも、秋夜がいなくなって残念ダ」
その麗鈴の言葉を最後に会話は途切れ、無言の状態がしばらく続いた。
20分も歩いた頃だろうか、前方がなにやら騒がしくなった。
「どうしたんだ?」
「白虎がいる場所についたようだナ」
しばらく様子を見ていると、風上の声が聞えてきた。
「みんな、境界線らしきものを見つけた! おそらくはその線から先が白虎のエリアだ!! 準備はいいか?」
みんなが無言でうなずく。
「よし、一気に入れ!!」
風上の号令とともに、参加者達が一斉に境界線の内側に入り込む。
俺と麗鈴も続けて境界線の中に飛び込んだ。
直後、また壁が出てきた。
パネルも玄武のときと同じ様に出てきた。
刹那がパネルを操作すると、電子音が流れた。
どうやら攻略が始まったらしい。
「慎重に進め…」
風上のグループが動き出す。
俺もゆっくりと歩き始めると、後ろから誰かが声をかけたきた。
「よう、お前辻健太だろ?」
「あんたは?」
「威牙無限だ。第1ステージで鬼に世話になった」
そういえば、秋夜が第1ステージで重傷をおったとき、襲ってきたやつらがいたと鬼は行っていた。
「何のようだ?」
威牙は不気味な笑いを浮かべるとこういった。
「鬼は今動けねえんだよな?」
「何が言いたい?」
威牙は無視して話を続けた。
「例えばの話だ。怨みがあるやつが今は動けないと知った。それは、恨みを晴らすチャンスだとは思わないか?」
「お前……!!」
こいつ、殺してやろうか………!!
あまりの怒りに殺意が沸いてくる。
「くっくっく。冗談だ。そんな怖い顔すんなよ。仲間だろう?」
俺は無視して先に進んだ。
「待てよ、そんなにおこ—
声はそこで途切れた。
「……?」
振り返ると、誰もいない。
どういうことだ……?
すると、ピチャンと水が地面に当たる音がした。
音がしたほうを見てみると…
「血……!!」
おそるおそる上を見上げると…
「………な」
そこにいたのは、血まみれの威牙をくわえた、白い虎だった。
俺が見ている目の前で、そいつは威牙を噛み砕くと、あっという間に食べてしまった。
そして、白い虎と目が合った瞬間、俺の中で恐怖がはじけた。
「うわああああああああああああああああああ!!!」
俺は、上から飛び降り、どんどん近づいてくる白い虎を見ることしかできなかった。
「……殺される…!!」