ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME 第3ステージ突入!! ( No.306 )
- 日時: 2010/11/03 20:50
- 名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)
- 参照: http://www.dejavu.jp/~webmaster/upbbs/users/test/img/1286535744.jpg
STAGE Ⅶ 「戦慄の牙」
〜前回のあらすじ〜
玄武との戦いで傷ついた鬼たちをコテージに残し、風上影李と刹那率いる残りの参加者は宝玉を奪うべく、次の四神、白虎のところに向かう。
辻健太は第1ステージで出会った張麗鈴に再会し、彼が新しい力を手に入れたことを知る。
そして、いよいよ白虎攻略というときに、第1ステージで鬼に敗れた威牙無限が辻に接触を図り、動けない状態にある鬼に対する復讐をほのめかす。
怒りを覚えた辻が威牙に詰め寄ろうとしたが、威牙の姿が一瞬で消えていた。
次の瞬間、辻の視界には、血まみれになった威牙を加えた白い虎の姿が映っていて……
「……殺される!!」
俺は恐怖で目をつぶる。
「辻君!!」
叫び声とともに、何かにつかまれ、体が真横に飛ばされた。
「………烈火さん!?」
とっさに俺をつかんで白い虎の攻撃から守ってくれたのは烈火さんだった。
「辻君、怖気ついたらやられる! 気をしっかり保って!!」
「は、はい!!」
そうだ、相手は四神。第3ステージまで生き残った猛者ですら一瞬で殺してしまう恐ろしい相手なのだ。
怖気づいたらそれで終わりだ。
俺はどうにか心を落ち着け、トリックスターを出現させる。
だが、すでに白い虎の姿は消えている。
「ずいぶんと動きが早いな。みんな、ある程度の距離を保って360度警戒するんだ」
風上が素早く指示を出す。
素早く全員が適当な位置につく。
「烈火さん、どうにかしてあの虎抑えないと」
「だね、このままじゃ一歩も動けない」
宝玉だけ奪ってさっさと脱出するにしても、虎を倒すにしても、まず動きをつかまないことにはどうしようもない。
「誰か、宝玉を取りに行くものはいないか!?」
刹那が冷静な声で問いかけた。
参加者は誰も反応しない。
動けば、それだけ狙われるリスクが高くなる。
しかし、動かなければ永遠にここから出られない。
よし、俺がやろう…………!!
俺は素早く手を上げた。
「俺が行く」
参加者が一斉に俺を見る。
「行ってくれるか、助かる」
刹那が勘定のこもらない声で言った。
「待って、行くなら私も」
烈火さんが手を上げた。
「烈火さん、俺なら1人で…」
「ダメ、危険すぎるよ。私も一緒に行く」
烈火さんは退かない。
直感的に俺はそう感じた。
「分かった、一緒に行きましょう」
烈火さんは小さくうなずいた。
「私と風上で食い止める。行け!!」
言うと同時に、刹那はまっすぐに走り出した。
すると、真上から白い虎が恐ろしい速さで刹那に迫ってきた。
「……っ!!」
人間とは思えない反応速度で刹那は双剣で牙を受け止めた。
「見とれてねえで、早く行けよ!!」
風上が白い虎に突っ込みながら叫んだ。
そうだ、見とれてる暇は無い。
「行きますよ、烈火さん!」
「うん!!」
宝玉の元に全力で走り出す。
だが、白虎は標的を俺達に変えて遅いかかってきた。
「くそ……」
トリックスターで防げるか…!?
たちまち眼前に迫る。
「ダメだ、早すぎる…!!」
すでに白い虎は腕を振り上げている。
「させるか!!」
まさに爪が振り下ろされようとした瞬間、何かが俺と白い虎のわずかな隙間に入り込んで、白い虎の爪を止めた。
「…風上!!」
「振り返るな、行くんだ!!」
「あっ……ああ!!」
再び前に向き、今度こそ走り出す。
白い虎は執拗に俺と烈火さんを狙っているようだったが、刹那と風上がうまく止めてくれているようだった。
そして、5分ほど走ると、目の前に白く輝く何かが見えた。
「烈火さん、あれ…!!」
「宝玉だ…!!」
宝玉は玉座の上で、異様なほど光り輝いていた。
烈火さんが玉座を回収すると、すぐさま反転して来た道を戻る。
みんなが踏ん張ってくれているはずだ。
早く行かないと……!!
2分ほど走ると、入り口が見えてきた。
「みんな、宝玉を回収した……あれ?」
烈火さんが不意止まった。
「? 烈火さん?」
烈火さんはアホのこのように立ち尽くしている。
「どうし……」
言いかけて、俺も絶句した。
そんな。どうして……どうして……!!
「あいつらが外にいるんだ…!?」
そう、参加者は俺と烈火さんを除いて、全員が境界線の外に出ていた。